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地方食豊かな煮込み料理は伝統の味
野菜たっぷりのバレンシアの煮込みはプチェロ
地方食豊かな煮込み料理は伝統の味
最後にご紹介したいのは煮込み料理です。日本ではコシード・マドリレーニョが有名ですね。鶏肉、豚肉、牛肉、モルシージャ、チョリソ、ヒヨコ豆、キャベツ、ジャガイモなどをじっくり煮込み、最初にそのスープだけにフィデオと呼ばれる細くて短いパスタだけを入れて前菜として食べます。その後に、肉類と、野菜・豆類が別々にサーブされます。かなりお腹にたまります。
各地方にそれぞれの煮込みがあり、たとえば北部のアストリアでは、ファバーダとよばれるインゲン豆とチョリソ、モルシージャ、豚バラなどの煮込みが有名です。ガリシア地方のカルド・ガジェゴは、緑色葉野菜のグレロまたはアセルガ、白インゲン豆や牛肉、ジャガイモ、塩漬けの豚脂などをコトコト煮込んだお味噌汁のようにホッとするお味。

野菜たっぷりのバレンシアの煮込みはプチェロ
一番上の画像は、ラ・マンチャ地方でもともとは羊飼いたちの食べ物だったという、ガスパチョ・マンチェゴという煮込みです。この特徴は小麦粉と塩、水でできた薄いクラッカー状の"トルタ"を鶏肉やウサギ肉、キノコ類と一緒に煮込むこと。トルタは出汁を吸って、モチッとした食感になります。形は違うけれど、強いて言えばすいとんのような感じでしょうか。クレープ、もしくはメキシコのトルティージャのような大きく丸いトルタの上にできあがったガスパチョ・マンチェゴをのせて食べることもあります。
ここバレンシア地方の煮込みはプチェロ。やはり鶏肉、豚肉、牛肉を使い、にんじんやヒヨコ豆、カブ、ナピコルとチリビアという根菜、セロリ、長ネギ、大きなミートボールなどを煮込みます。マドリードと同じように具とスープを分けていただきますが、スープに入れるのはパスタではなくお米。バレンシアらしいですね。材料を全部鍋に入れ、ただ煮込むだけなのでとても簡単。そしておいしく体が温まるので、わが家でも冬の定番です。


どれもインスタ映えするようなオシャレな食べ物ではありませんが、昔からの伝統の味。冬しか食べられないカルソッツに、体が温まるアロス・カルドソや各地の煮込み料理をぜひお試しくださいね。