ミョウガにまつわる迷信と名前の由来

最後にミョウガにまつわる迷信について見ていきましょう。
ミョウガを食べ過ぎると物忘れが激しくなる?
ミョウガを食べ過ぎると物忘れが激しくなると言われることがあります。
こちらは広く知られている俗説ですが、科学的根拠はありません。
ミョウガという名前の由来はお釈迦様の弟子から来た?
では、なぜミョウガを食べると忘れっぽくなるなんて言われるようになったのでしょうか。
そこにはミョウガという名前の語源にもなったお釈迦様の弟子が関係しているそうです。
お釈迦様の弟子に「周利槃特」という人物がいました。
彼は物事を覚えるのが非常に苦手で、修行の作法などを覚えるどころか、自分の名前を覚えることもできませんでした。
なにもできない自分に嫌気がさした周利槃特は、教団を去ろうという意思をお釈迦様に伝えました。
しかし、お釈迦様は「なにもできないということを知っているということが何より尊く悟りに近い」と言って慰めると、一心に掃除をするように言いつけました。
この言いつけを守った周利槃特は、毎日ひたすら汚れているところが無いようにと掃除を続けました。
ところが、そんな掃除に専念している周利槃特にお釈迦様は「一箇所汚れているところがある」と伝えました。
しっかり掃除をできていると思っていた周利槃特は「どこが汚れているのですか」と尋ねたのですが、お釈迦様は答えてくれませんでした。
再び掃除漬けの日々を送っていた周利槃特ですが、ある日気が付きました。
お釈迦様が言っていた汚れが落ちていないところというのは「自分の心」だということに。
周利槃特が気が付いたこの事実は、悟りを開くために重要なものだったそうです。
この気が付きから、周利槃特は煩悩を捨て去り悟りを得たというのです。
その後、周梨槃特が亡くなると、埋葬した墓から見慣れない草が生えました。
そこで、自分の名前も覚えることができなかった周梨槃特が「名」を記した布を背中に「荷」っていたことから、「茗荷(みょうが)」と命名されたとされています。
この故事に登場する周梨槃特が物覚えが苦手だったことから「ミョウガを食べると物忘れが酷くなる」という俗説へと派生していったとされています。
もうひとつのミョウガの名前の由来とされる説
ミョウガには、他にも名前の由来となったとされる説があります。
大陸からショウガとともにミョウガが持ち込まれたとされます。
この時、香りの強い方を「兄香(せのか)」と呼び、弱い方を「妹香(めのか)」と名付けられました。
これが後に、それぞれ「ショウガ」と「ミョウガ」に名前が変化したというのです。
東京にある地名の茗荷谷はミョウガと関係ある?
東京都文京区には、「茗荷谷」と呼ばれるエリアがあります。
東京メトロ丸ノ内線の駅「茗荷谷駅」のある小日向四丁目周辺となります。
ここは、かつて茗荷谷町という名前でした。
この名前は、江戸時代に茗荷畑が一帯に広がっていたことに由来するとされています。