冬の一大イベントともいえる『クリスマス』。
ケーキを食べたり、プレゼント交換したりなど、クリスマスならではのイベントを楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。
しかし、月初からひたすらクリスマスを指折り待っているのも辛いものです。
そこでクリスマスを待ちながら味わうとされているパン、その名も「シュトーレン」を堪能して待つというのはどうでしょうか?
シュトーレン
シュトーレンは、主にドイツやオランダで食べられています。
生地にはドライフルーツやナッツ、マジパンが練り込まれ、焼いた後にはたっぷりの砂糖がふりかけられるこのパンは、日本では多くの場合シュトーレンと呼ばれます。
現地ドイツの発音では間を伸ばさず「シュトレン」と呼ばれ、オランダだと「ストル」と呼ばれています。
ドイツの菓子パン
シュトーレンは、ドイツの東部にあるザクセン州の都市ドレスデン発祥と考えられています。
その名はドイツ語で「坑道」を意味し、断面はその名前の通りトンネルにも似た形状をしています。
また、周りに粉砂糖をまんべんなくまぶした真っ白な形状は、真っ白なおくるみに包れた産まれて間もないキリストの姿を模して作られたともいわれています。
シュトーレンは歴史のあるパン
シュトーレンの原型となったパンはザクセン州の北西にあるザクセン=アンハルト州の都市ナウムブルクで誕生したとされています。
1929年に司教へのクリスマスの贈り物とされたのがその始まりとされていますが、この贈り物が本当にシュトーレンの原型なのか、それともよく似た違うパンやお菓子の原型にあたるのか、今日でははっきりしていません。
クリスマスが来るのを待ちながら食べる
シュトーレンは、クリスマスイヴの4週間前からクリスマスを待ちながら食べる菓子パンとされています。
なぜ4週間前なのか、これはクリスマス当日までの4週間を「アドベント」と呼ばれるキリストの生誕を待ち望む期間が定められているからです。
ドイツでは11月の末にもなるとシュトーレンの販売が始まります。
購入したシュトーレンは一度に全ては食べず、切り分けながら小分けに食べます。
まずは半分にシュトーレンを切り、そこから外側に向かって薄くスライスして何日にも分けながら食べてクリスマスを待つものとされています。
普通のパンと違い、日持ちをするのでアドベント期間でシュトーレンが傷むことは無いそうです。
長期に渡って食べるので、日に日に熟成が進むと共に、ドライフルーツの風味が生地に馴染んでいくことで濃厚になっていくのを楽しめるというのがシュトーレンの醍醐味です。
発祥の地ではシュトーレンのお祭りも
シュトレーン発祥の地とされる街ドレスデンでは、毎年12月の第一土曜日にシュトーレン祭りが開催されます。
このお祭りでは、馬車にひかれる程の巨大シュトーレンが街を練り歩くパレードが催され、最後には切り分けたシュトーレンの販売が行われます。
巨大シュトーレンの大きさは年によって変わりますが例年長さ3m、重さ3tを超える非常に巨大なものになります。
その大きさ故に一度には作れませんので、150人ほどのパン職人たちがそれぞれ焼き上げたものをつなぎ合わせて完成させるという、協力なくしては作れない一品になっています。
パレードの動画はこちら