国家による挑発とは信念というより「勝手な妄想」に近いのではないか、と思うのです。例えば中国は台湾を武力侵攻をするでしょうか?力による制圧などすれば中国は世界から厳しく弾圧されることは目に見えています。私が思いつくのは習氏のイデオロギーとしての台湾統一、そして3期目就任の国内向けの公約という自己保身でしかありません。では香港の衰退ぶりを習氏はどう説明するのでしょうか?

北朝鮮が複数の無人機をソウル付近にまで飛ばし、韓国軍はそれを打ち落とせなかったと報じられています。ウクライナでも同じですが、武器としてのドローンの威力は高額な戦闘機よりはるかに優れており、今後の武器はこれが主体になるとみています。誰も乗っていない、おまけに打ち落とされるぎりぎりまでデータは取得できる、コストも大幅に安いのです。北朝鮮が果敢にもソウル近郊までそれを飛ばしたことは重要視しています。

日本を取り巻く安全保障環境は極めて厳しい 北朝鮮公式HPより

では北朝鮮は何を求めているのか、と言えば私にはロシアの理論と同じ、朝鮮半島の支配権だろうとみています。つまり、南北に分かれた両国はそもそも兄弟であり、その関係を維持するために弟に勝手な真似はするな、と脅しを入れているのだとみています。北朝鮮は朝鮮半島に於いて兄だという自負があります。経済成長では弟と比べる意味すらありませんが、弟の勝手な振る舞いは絶対に許さない、という訳です。

当然ながらアメリカのみならず、日本が韓国と仲良くすれば金正恩氏は面白くない、という姿勢を示し、更にミサイルを飛ばすことになるでしょう。一番怖いのは金与正氏で彼女はいわゆる感情が勝手にエスカレートするタイプで男性にある理性的制御がほぼ出来ず、あり得ない残虐性と無謀さを持ち合わせているように見えます。よって与正氏の発言、行動には特段の警戒が必要とみています。

国家による挑発とは「権力者の病気」だと思っています。歴史を振り返っても同じようなことが起きたのは権力者の暴走に端を発したものが多いのです。力ある指導者が民をカリスマ性で引っ張り上げることは美談として伝わります。が、美談と横暴は紙一重であるとも言えます。

私はそのような権力体制を作り上げた国家そのものに問題があると思っています。これらの国では国民自らが国家を作るという思想と行動を長年に渡り搾取されており、自分たちの国を作るという発想そのものがが無いのです。これはアラブの春と同じです。国家の宿命ともいえるのでしょう。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年12月29日の記事より転載させていただきました。