国により平常化のパタンが変わったこと グローバル化により物流のしわ寄せが出来たこと 政府が休業者や企業に手厚い保護を出したこととそれが終わった後のメンタル面での反動 人間の欲望が外出できなかった際の食欲、物欲から解放後の移動欲と活動欲への変化 コロナ後、解放され過ぎた結果、いつの間にかお財布は空っぽになった

ということではないでしょうか?

今年の株価はこの人間の活動に合わせて個別や業種ごとに動きました。しかし、多くの銘柄の寿命が短かった、これが結論です。私はここを読んでいました。こんなことを指摘した投資指南家はほとんどいなかったはずです。特に大手やネームバリューがある雇われファンドマネージャーは外しまくったと思います。では、でお前は儲けたのか、と聞かれれば否定はしません。

では2023年。個別や業種を見るより世の中の空気を読みたいと思います。多くの人は物価高にあえいでいます。企業は想定の利益を上げられないかもしれません。戦争も続いているし、権威主義と民主主義の争いもあります。アメリカも一枚岩ではないし、日本でも絶対の信頼感がある政府ではありません。

これらはいずれ数字としてより明白に出てくるとみており、23年春は厳しいかもしれません。国家破綻ももう少し出てきそうですし、企業倒産や事業閉鎖、個人破綻、不動産の競売など様々な問題は相当の時間差を経て出てきます。これは経験値から100%断言できます。つまり春が数字的に底と想定するなら23年は一年を通じて膿だしの年になる公算が高いとみています。

一方、皆が貧乏になったわけではありません。投資家筋は半年以上前からキャッシュポジションを高めています。キャッシュがないのはファンド筋です。これは彼らが現金を持ち続けることが実質的に許されず、常に売買を繰り返さなくてはいけないからです。例えばキャシーウッド氏が落ちるナイフに手を出し、流血しながらも買い向かうのは「無謀」ではなく「業務」なのです。「休むも相場」という格言は彼らには通じないのです。こうみるとファンド、投資信託は一番苦しくなりそうな気がします。機関投資家は手ぐすねを引いてチャンスを待ち構えているでしょう。

以上より、23年は春先に向けて下げた後、多少乱高下をしながらも落ち着きどころを探る状況を想定しています。アメリカの金利は激変ショックがない限り、23年度中に利下げに転換することはないと思いますが、年後半に利下げ期待感が高まり、株は買われやすくなるとみています。北米の不動産も来年前半が購入価格的には買い時になりますが、ローンを組めばコスト面で不利です。現金で買う人には10年に一度のかなり良いタイミングになるでしょう。

日本の株式市場は弱めのバイアスを見ています。理由は為替です。個人的には購買力平価を考えれば120円は通過点とみていますので株価的にはボディブローなのです。また少子化により内需中心の日本の経済は基本的にシュリンク型です。海外投資筋が日本に資金を振り向けなくなってきているのはそこにも理由があります。日本経済はM&Aを進めて上場企業を5年で今より1000社減らすぐらいのドラスティックなプランがないと投資したいと思わないです。

正直、一般の方、初心者には投資環境としては向かない一年になるかもしれません。日本からアメリカの株式を購入しようとする方は為替が利益を打ち消す効果が出やすいことに細心の注意を払うべきでしょう。私がその立場ならやりません。日本で投資をするなら私なら配当を狙うつもりで大手銀行株だと思います。

私のポートフォリオも相当範囲が広く、大きく利益が出たものもあるし、大きく損失を出したものもあります。基本的に決算期や年度末に合わせて一部銘柄を損切りして利益を縮小させ、税務対策を進めながら銘柄の入れ替えを常に行い、塩漬けしないことに専念しています。半ば業務でやっている投資と個人投資の違いだと思います。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年12月28日の記事より転載させていただきました。