「コロナ死者」は過大にカウントされている

感染症法上の分類は、これとは別の問題である。特措法の対象から除外すると夜間営業禁止や水際対策などの行動制限はできなくなるが、原則入院や公費負担などの規定は残る。

上の表で奇妙なのは、コロナの重症化率と致死率がほとんど同じだということだ。「調整」前は致死率のほうが高かったが、コロナで重症にならないでいきなり死亡する患者が、そう多いとは思えない。コロナ肺炎に使われる人工呼吸器の実施率も、1割以下である。

これはコロナ以外の基礎疾患で死亡した人が(PCR陽性だというだけで)コロナ死者に過大にカウントされている疑いが強い。こういう患者にコロナ肺炎の治療をすることは無意味であり、医療資源の浪費である。

コロナ死者の統計は信用できないが、超過死亡は動かせない事実である。9月の超過死亡数は8874人で、今年の合計は10万人を超えて史上最多になる見通しだ。これがワクチンの影響かどうかは不明だが、インフルと同じように接種は本人の選択にまかせてもいいだろう。

3割負担で「平時」の対策に

ここで重要なのは2類か5類かではなく、検査や治療が公費負担かどうかである。エボラ出血熱のような「死の病」は、強制的に入院させて無料で治療することが合理的だが、ありふれた風邪を無料にすると、軽症患者が病床を占拠し、医療を逼迫させる。

だからコロナも3割負担にし、自分の症状に合う治療を自己選択させるべきだ。無料なら軽症でも救急車を呼ぶが、有料なら病院に行く必要があるかどうかを自分で判断するだろう。オミクロンでは自宅療養していた高齢者の基礎疾患が悪化したケースが多いので、入院治療は無駄である。

「今でも現場は弾力的に運用しているので5類と同じだ」という人もいるが、それならなおさら2類にしておく理由がない。だが巨額の補助金が病院の既得権になったため、日本医師会が抵抗している。必要なら別の分類をつくり、ワクチン接種は無料にするなどの対応をとってもいい。大事なことは患者にコスト意識をもたせ、適度な治療を選択させることである。