大金持ちは、お金に関する数字や計算式をよく知っている。お金の不安を解消したいなら、金融知識を身に付けることが大切だ。

今回は、資産形成や家計管理に役立つ計算式・数字を5つ紹介する。

72の法則

「72の法則」とは、元本が何年で2倍になるかを計算できる法則のことだ。以下の算式で計算する。

72÷年利率(%)=2倍になる年数

たとえば、元本100万円を2倍の200万円にしたい場合、年利3%で運用すると24年(72÷3%)かかる。一方、年利6%なら12年(72÷6%)で済む。

年利率から資産の増えるスピードをざっくりと把握したい場合は、「72の法則」を活用するとよいだろう。

複利計算

利息のつき方には、「複利」と「単利」の2つがある。複利は「元本+利息」に、単利は元本だけに利息がつく。複利と単利の計算式はそれぞれ以下の通りだ。

・複利:元本×(1+年利率÷100)n 〈*n乗〉
・単利:元本×(1+年利率÷100×n)

※nは運用年数

たとえば、100万円を年利5%で20年間運用する場合、20年後の資産は複利、単利それぞれで以下の通りになる。

複利:100万円×(1+5%÷100)の20乗=約265万円
単利:100万円×(1+5%÷100×20年)=200万円

年利と運用期間は同じでも、運用成果に約2.6倍もの差が生じている。複利は利息が利息を生み、運用期間が長くなるほどお金の増え方が大きくなるからだ。

先ほど紹介した72の法則も、複利運用を前提としている。投資で資産を増やすなら、複利計算をマスターしておこう。

3~5%

「3~5%」は、株式の期待リターンの目安だ。公的年金の積立金の管理・運用をGPIF(年金積立金管理運用独立法人)では、名目賃金上昇率を差し引いた実質的な期待リターンを、「国内株式3.3%」「外国株式4.9%」としている。

国内外の株式に分散投資をするなら、ざっくり「3~5%程度のリターンが期待できる」と覚えておくとよいだろう。ただし、あくまでも期待リターンであり、この通りに運用できるとは限らない点には注意が必要だ。

20.315%

「20.315%」は、預金利息や金融商品の運用益にかかる税率だ。内訳は所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%となっている。利息や運用益はそのまま手元に残るわけではなく、受取時に税金が差し引かれる。

たとえば、投資信託の運用益が100万円の場合、税金が20万3,150円(100万円×20.315%)差し引かれるため、運用益のうち手元に残るのは79万6,850円だ。

ただし、NISAやiDeCoなどの非課税制度を活用すれば、運用益に課税されない。上記のケースであれば、運用益100万円をそのまま手元に残せる。

資産運用の手取り額を増やしたいなら、20.315%の税金を意識して、非課税制度をうまく活用しよう。

月6万5,000円

月6万5,000円は、国民年金(老齢基礎年金)を満額もらえる場合の年金額だ。年額で約78万円となる。夫婦2人分なら月13万円、年156万円だ。ちなみに、厚生年金の標準的な年金額(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む)は月約22万円となっている(いずれも2022年度時点)。

老齢年金は、老後の生活を支える重要な収入源だが、国民年金のみで余裕のある老後を過ごすのは難しい。預貯金だけでなく、NISAやiDeCoなども活用して老後資金を準備しておこう。

お金を上手に生かそう!

金融知識があるかどうかで、手元に残るお金は大きく変わってくる。まずは今回紹介した計算式・数字をマスターして、家計管理や資産形成に活用しよう。

文・大西勝士(ファイナンシャル・プランナー)
早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。FP資格や投資経験をもとに、大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで記事執筆を行っている。

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