普段から安全運転を心がけている人でも、ついうっかりと意外な交通違反を犯してしまうことがある。道路交通法(以下、道交法)の条文の中には解釈の難しいものがあり、間違えて理解しているケースもあるだろう。ここでは、注意したい“意外な交通違反”9選を紹介する。

実は交通違反となってしまう運転

まず、交通違反になってしまう運転について意外なものをいくつか紹介しよう。

①横断する歩行者に譲られて先に行く

道交法第38条には、横断歩道を渡ろうとする歩行者がいる場合には一時停止しなければならないとある。これを守っている人は多いと思うが、横断する歩行者から「お先にどうぞ」と譲られた場合であっても、横断歩道を先に横切ってしまうと歩行者を優先しなかったとして交通違反となることには注意したい。

これはさすがに不条理に思えるため、ニュース番組などで道交法のより柔軟な運用を求める問題提起がなされたこともある。これに違反すると普通車で9,000円の罰金、違反点数は2点となる。

②普通の靴以外での運転

道交法第70条「安全運転の義務」には、「ハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作」することが求められているため、サンダル、スリッパ、ハイヒール、厚底靴での運転は交通違反になると考えていいだろう。

中にはクロックスなど判断の難しいグレーゾーンの履物もあるが、運転時には普通の靴をはいておくのが無難だ。これに違反すると公安委員会遵守事項の違反となり、普通車で6,000円の罰金となる。

③大音量で音楽をかけながら走る

道交法第70条「安全運転の義務」には、「他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」とある。そこで、イヤホンやヘッドホンを付けたままの運転は交通事故の可能性があるため、当然NG。外の音が聞こえないほどの大音量で音楽をかけながら走るのも、交通違反になる可能性がある。

具体的には、公安委員会遵守事項の違反となり、普通車で6,000円の罰金となる。

運転中のこの行為も交通違反に

運転中の行為の中には、交通違反になってしまうものもある。運転者の状態次第で違反に問われるケースがある。次にそうしたものを紹介しよう。

④危険のないときのクラクション

道交法第54条「警音器の使用等」には、見通しのきかないところや道路標識でクラクションの指示のあるところ、また危険を防止するためやむを得ない場合にのみクラクションを鳴らしてよいとある。逆に、それ以外のときにはむやみに鳴らしてはならない。

そこで、「早く行け」と急かすためのクラクションや、歩行者へのクラクション、あるいはあいさつ代わりのクラクションなどは厳密にはいずれも交通違反にあたる。これに違反すると普通車で3,000円の罰金となる。

⑤疲れすぎているときの運転

道交法第66条「過労運転等の禁止」には、「過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」とある。これに違反すると違反点数25点という非常に重いペナルティが課される。

⑥エンジンをかけたまま、あるいはドアロックしないで車を離れる

道交法第71条「運転者の遵守事項」には、車を離れるときはエンジンを止め、パーキングブレーキを入れて車が完全に動かないようにしなければならないとある。ドアロックをかけて他人が無断で運転できないようにする必要もある。

これらに違反すると公安委員会遵守事項の違反となり、普通車で6,000円の罰金となる。

自転車・歩行者の意外な交通違反

道交法では自転車は軽車両とされるため、車両に向けた道路標識・標示のあるところではそれに従わなければならない。なお、押して歩いているときは歩行者とみなされる。道交法は自転車や歩行者にも適用されるのは当然であり、それぞれに意外な交通違反がある。

⑦危険のないときのベル

車のクラクションと同様、危険のない状況でベルを鳴らすことは交通違反となる。むやみに鳴らすと道交法第54条「警音器の使用等」での禁止事項に違反することになる。

⑧泥酔状態での歩行

道交法第76条「禁止行為」に基づき、交通の妨害になる程度にふらつくような泥酔状態で歩行すると交通違反となる。酔っていなくても、交通の妨害となる形で道路に座ったり寝そべったり、立ち止まったりすることも交通違反にあたる。

⑨高齢者や障害のある人の横断を助けない

道交法第14条「目が見えない者、幼児、高齢者等の保護」には、高齢者や身体に障害のある人が道路を横断しようとしている場合、その本人から申し出があったり、あるいは必要性が認められたりする場合には、安全に横断できるよう手助けをしなければならない、とある。

それをしなかったからといって罰則があるわけではないが、これもある種の交通違反であることは心しておきたい。

文・モリソウイチロウ(ライター)
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

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