黒坂岳央です。
世の中には様々な宗教があるが、中でも多くの人が無意識的に入信してし、熱心になってしまうものが「健康教」だろう。そしてその布教活動を行っている1つの団体こそが、テレビの健康番組だと思っている。もちろん全部などと暴論は言わない。だが、テレビの健康番組を鵜呑みにして過剰なまでに健康活動に励むほど、かえって不健康になってしまう本質がある。
実際、筆者の親族や知人、親戚の健康教信者で行き過ぎた活動によって健康を害するケースを見てきた。

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特定の番組を槍玉に挙げて批判をするつもりはないが、テレビ番組は視聴者を不健康に導きかねない本質がある。ここからはその本質の内容を説明したい。
テレビ番組の至上命題に「視聴率を取る」が挙げられる。当たり前だ。テレビ局は多数の従業員を抱えており、利益を追求しなければいけないためだ。さらにテレビ番組には広告スポンサーがつく。この状況が「正しく視聴者のためになる番組作り」以上に、「より多くの視聴者に一秒でも長く見られ、なおかつスポンサーに嫌われない内容」を目指す作りになっている。
そしてテレビ番組を見る視聴者は栄養の専門家でもなければ、全員が論理的思考に優れていたり、多面的、進化生物学的な観点で見ることはない。画面に釘付けで集中して見ているわけでもなく、多くの人はながら視聴である。そうなると、必然的に番組の内容は難しすぎず、とにかく結論がシンプルで分かりやすく、さらに目新しさを感じられる構成になる。
「健康のためには、まんべんなく野菜や果物などを食べ、量は食べすぎず、適度に運動をしてストレスを減らしましょう」などとはいえず、「バナナはこんなにも知られざるスゴイ効果があった!!」みたいな内容でとにかくバナナを褒めちぎる内容になりがちである。
これはテレビ番組が悪いわけではないのだが、こうした番組を見て「そうか!バナナは完全食品のようなものだったのだ!」と思い込んで、その日以降毎日せっせとバナナを食べ続けてしまう視聴者は一定数現れる。
人気テレビ番組でバナナや納豆の効果が取り上げられる度、スーパーから商品品薄になるニュースが取り上げらられることが過去にあるなど、もはや無視できないレベルでテレビには影響力がある。そして健康教にはまる人ほど、「今週はアボカド!来週はモロヘイヤ!」みたく節操なくおすすめされるものを鵜呑みにし、次々に特定食品ばかりを過剰摂取してしまいがちだ。