選手への報酬は国により異なる

では、他の国ではどうだろうか。

日本と同様に選手への賞金分配方法は各国のサッカー連盟が決めるが、興味深いのは米国だ。まず、男子代表選手は全員がカタールでの全試合で1万ドルの報酬を受け取る。ただ賞金の9割に当たる金額の半分は、試合に参加していないにもかかわらず女子サッカーチームのメンバーにも等しく分配される。

サッカー界の男女賃金格差問題への取り組みから、米国は「国際大会で男女どちらのチームが勝っても賞金は半分ずつ分配」という規定を導入。今大会ではベスト16だったため、賞金1,300万ドルのほとんどを男女合わせて26人のメンバーで分け合うことになる。

ドイツは16強に進出すると約5万2,000ドル、優勝すれば約41万5,000ドルを支給するという。オーストラリアは約15万ドルの報奨金を払うのに加え、賞金の50%をボーナスとして分配する。韓国は約1万5,000ドルの報奨金を支給し、1試合勝利すると約2万3,000ドル、引き分けは約8,000ドルを支払うとしている。

アルゼンチンに逆転し歴史的勝利を収めたサウジアラビアは、皇太子から「ロールスロイス・ファントム」が全選手に贈られると一部海外メディアが報じた。実現すれば1台50万ユーロ(約7,200万円)規模の高額な報奨となるが、現地で会見したサウジ選手団は事実ではないと否定した報道は記憶に新しい。

試合結果に一喜一憂したW杯だが、勝敗により賞金や報奨金に大きな差がつくことにも注目が集まったようだ。さらに、莫大な賞金額が年々増えていく中で、女子サッカーとの金額格差や、財源となるテレビ放映権料上昇などの課題も顕在化したといえよう。

文/渡辺友絵