ヒマを持て余す

これは自分自身だけでなく、付き合いのあったビジネスマンを見てきて感じることだが、ある程度仕事が軌道に乗り安定的に流れるようになったらヒマを持て余すようになる。会社をそこそこ育てた知人の経営者はしょっちゅう遊びに行ってばかりで、面白そうな話を聞けばいきなり翌日から宿泊込みで出かけていく。楽しい活動に飢えており、きっとヒマなのだと思う。

自分は二人の子供を育てているので今は忙しくしているが、一人目を保育園に入れて二人目が生まれるまでの間はかなりヒマになってしまったことがあった。絶対にやらなければいけない仕事は、朝9時とか10時には終わってしまうので、残りの時間はヒマを持て余してしまっていた。

マンガやゲームは大好きだが、365日ヒマだとすぐにやり尽くしてしまう。娯楽は仕事を頑張った余暇時間にやるからこそ、楽しいのである。毎日、余暇時間しかなければ受動的な娯楽はすぐに飽きる。最初は「この生活はストレスもなく、気楽で嬉しい」と思っていたが、すぐにつまらなく感じてストレスがないことにストレスを感じていた。

今は状況が変わり、意識的に忙しくする術を得てなんとかなっているが、今いる子供が二人とも学校に行ってしまえばまたヒマが戻ってきてしまうだろう。

「お金があれば人生の99%の悩みは解消できる」などと言う人がいるが、お金はそんなに万能なものではない。お金はしょせん、単なる価値交換券にすぎず、値段がついているものしか買うことはできない。更に本を買うことはできても、それを買って読んで面白がれるかどうかは自分自身の感受性次第である。その感受性もビビッドに過ごさなければ衰えて何も感じなくなる。

欲しいものは大体買ってしまい、もう買いたい物があまりない残されていない世界は、ゲームRPGにたとえるとあらゆるアイテムをたくさん持っている状態に近い。もう攻略が残されていないため、そこからは自分で創意工夫して楽しめる人生にするという新しい問題が生まれるのだ。

残りの人生は長くもないが、短すぎることもない。創意工夫で自分で人生を盛り上げていくという、新たな課題に直面するのである。

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