次に流出を防ぐこと。主たるリスクは技術やノウハウで、Brain Drainと称されるものです。特に日本の学者や専門家が高い報酬で中国や韓国などに引き抜かれるケースが後を絶ちません。彼らは三顧の礼で迎えられますが、一通り吸い取ったらポイ捨てされるのです。そんな行為をしたら日本にも戻れない、相手国にもいられない世界が待ち受けています。ではなぜ、頭脳流出が起きるのかと言えば日本の報酬が安いからなのです。結局まわりまわると防衛強化は妥当な報酬ということになったりします。

不動産はどうでしょうか?日本は多少、規制が厳しくなったとはいえ、外国人にとって最も不動産を取得しやすい国の一つです。日本法人なんてダミーでいくらでも作れるし、不動産を一度取得し、日本人役員が某国の役員に交代したところでそれを知るチャンスもないし、不動産を取り戻すのはなお更難しくなります。あるいは住民の権利はどうでしょうか?外国人の権利を人権の部分と国防とごっちゃにしていたりしないでしょうか?

要するにもっと強化しなくてはいけないところはいくらでもあるのです。個人的には公安、特に外事の手が薄すぎだと思います。公安と言えば警察ですが、その主力はほとんどが警視庁。そして外事課はロシアの1課、中国の2課、北朝鮮の3課がほとんどで4課はおまけみたいなもので担当エリアだけはその他全世界という扱いです。つまり偏り過ぎの上に人数も専門家も全然足りていないのです。強権を持たない法務省管轄の公安調査庁も基本はオウム真理教絡みが強く外事は調査ルートが限られていてほぼダメ。あとが外務省ですが、こちらもそういう専門人材を育てていない弱みがあるのです。

戦略的武器が重要なのはわかるのですが、日本は戦後、一種の平和ボケと島国という特性から相手からの防御に脆弱性があります。一発何億円もするミサイルもわかりますが、もっと国民意識を根本から見直さないといけないでしょう。自衛隊員は27万人程度とされます。増えないです。不人気以上に少子化で隊員は今後も苦戦が強いられるでしょう。特にきな臭い状況になればなおさら志願者は減るかもしれません。とすれば日本はより頭脳プレイと堅固な社会システムを作り上げることがより重要です。

私は43兆円に反発しているわけではないのです。どうやったら日本を護れるのか、この議論、そして全方向での戦略と議論が欠落している点を憂いているのです。それは岸田さんの手にすべてかかっています。その岸田さん、最近の顔つきは以前の柔和さがすっかり消えてしまっている点、私は非常に気になっています。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年12月16日の記事より転載させていただきました。