問題点はなにか?
上記のように、国民は、FIT制度で奨励された再エネの拡充によって日本のCO2排出が削減でき、京都議定書やパリ協定(COP26)で約束したCO2削減目標が実現できると期待して(信じ込まされて)、これまで延々と再エネ賦課金を支払ってきた。
しかるに、日本のCO2排出量は、1990年(京都議定書の基準年、再エネゼロの時代)の11億6000万トンが2019年の11億1000万トンに減っただけで、たった4%しか削減できていない。
これは、効果の挙がらない政策を餌にして多数の消費者から資金を詐取してきたと言うべき状況ではないか?

出典:温室効果ガスインベントリオフィス(注)2020年は新型コロナの影響で産業活動が低下したため、CO2排出も急減している。従って本文中では2019年の数字を使用する。
さらには、FIT制度で多大な資金を補助して再エネの大量建設を奨励しておきながら、冬場には政府が節電要請を出して電力使用量を抑えないと停電の危機にあるという。これは明らかに再エネ偏重というエネルギー政策の失敗であり、失政の負担を国民に付け回しているとしか考えられない。
詐取されたも同然の資金の返還要求は現実的に難しいとしても、今後の追加的な詐取を抑えるために再エネ賦課金の新規徴収を直ちに廃止させることが重要である。
閣僚あるいは元閣僚の有力議員の中には、「再エネ100%でやっていける」「原子力なしで脱炭素化できる」などと言っている方たちがいるが、その方たちは現在のエネルギー逼迫状態やCO2排出量の削減が進まない状況を見ても、詐取同然の多額の再エネ賦課金を徴収し続けていることへの責任を感じないのであろうか。それとも、再エネ賦課金制度は民主党政権が制定したことだから自分達には責任がないと言い逃れるつもりなのだろうか。
まとめ以上述べてきたように、ここ10年以上続けられてきた再エネ賦課金制度は、CO2削減に実効を挙げていないと同時に、エネルギー政策の失敗をもたらし、失政挽回策として節電要請を発せざるを得ない状況を生んできた。
政府は、再エネ賦課金の徴収を直ちに廃止し、それによって国民の負担軽減を実現した上で、新たなエネルギー政策への協力を依頼するべきである。