人生100年時代を迎え、会社員でいうと定年退職後の期間が長くなっている。いわゆる「アクティブシニア」として余生を謳歌する人がいる一方、定年を過ぎてなお働く人もいる。
経済状態や人生観は人によって異なるので答えは1つではないが、定年退職後の選択肢と、それぞれの特徴をまとめた。あなたにとってベストの選択はどれだろうか。
まずは日本人の平均寿命から逆算して、セカンドライフの期間がどのくらい残されているのかを見ていこう。
平均寿命は80代
日本人の平均寿命(2021年時点)は、男性が81.47歳、女性が87.57歳だ。
さらに厚生労働省がまとめた2021年の平均寿命の世界ランキングでは、男性はスイス(81.6歳)が1位で、日本はノルウェー(81.59歳)に続いて3位となった。女性は日本が1位を維持し、韓国(86.5歳)、シンガポール(85.9歳)が続いている。
選択肢1.再雇用で安心の環境を
仮に65歳で定年退職した場合、セカンドライフを生きる時間は20年ほど残ることになる。それだけの長い期間を考えると、65~69歳の半数以上が働き続けている状況にも、合点がいくだろう。
定年退職後の生き方として、まずは再雇用を挙げたい。再雇用はそれまで勤めてきた会社の制度を活用し、引き続きその会社で働く方法だ。
国税庁の令和2年(2020年)民間給与実態統計調査によると、60~64歳の平均給与額は、55~59歳と比べて2割ほど減少している。給与は減額されるが、自身が勝手を知っている職場環境で、よく知る仲間と働き続けられる精神的な余裕は大きいだろう。
選択肢2.再就職でアグレッシブに
60代になっても、もっとアグレッシブに働き続けたいと思う人には、再就職という選択肢もある。他社に移り、これまで働いてきた経験を生かすということだ。
例えば、製造業なら生産管理のノウハウや方法が会社によって異なる。当たり前のように取り組んできたことが、他社にとっては大きな学びにつながる可能性もある。
事務職であっても、大企業で普及している仕組みが中小企業ではまだまだ浸透していないことは多い。自分がこれまで経験してきたことを、新たな環境で新たな仲間に伝えれば、会社の成長に貢献できるかもしれない。「働き続ける」という点では再雇用と同じであるが、ベクトルは大きく異なる。
選択肢3.引退でセカンドライフを楽しむ
高校や大学を卒業して40年ほど働き続け、さすがに引退したいという人もいるだろう。経済的な余裕があることが前提にはなるが、職業生活からは身を引き、セカンドライフで趣味に没頭するのもいいだろう。
ただし、それまで長く社会人生活を送ってきた人(特に男性)が陥りがちなのが、仕事以外で付き合いのある人が少なく、引退した途端に独りぼっち、という状況だ。
1日24時間、全ての時間を自由に使える老後に話し相手がいないのは寂しいもの。この事態を回避するため、現役時代のうちから趣味のサークルに入るなどして生涯の仲間を作っておくことをおすすめしたい。
心と体の準備を!
再就職や引退を選択する場合に注意しておきたいのは、これまで以上に「個人」として見られる場面が増えるということ。会社員時代は「〇〇株式会社の××です」だったが、「〇〇株式会社の」ではなくなるからだ。
学生時代は「〇〇大学の××」「〇〇高校の××」だったかもしれない。しかし、定年を迎えると、人生でほとんど初めて、何の所属先も持たずに社会と向き合うことになる。
定年を迎える前に、これまで培ってきた経験や人生観を整理し、この先の人生を展望し、自身が本当に望む生き方とはどういったものなのか、心と体の準備を整えることが大切なのかもしれない。
文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。
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