コロナ禍初期に株価は大暴落し、急回復した。そんな中、株式投資で大きな値上がり益を得た人はたくさんいるだろう。

特に、一攫千金を狙って大金を投資した株が何十倍にも値上がりした人は「爆益」を手にしたに違いない。しかし、大金を手にすると人間は豹変する恐れもある。金銭感覚を狂わせて人生を棒に振る人がいるのも確かだ。今回は「爆益」を得た人が陥りがちな精神状態と、そんな時にこそ気を付けるべき点について解説する。

リスクを恐れなくなる

まず、投資で大きな利益を得た人は、たまたま勘が当たっただけでも自分の実力による成功だと過信しがちだ。極端な言い方をすれば「自分は天才投資家だから負けない」と思うようになる。

加えて、手元にある資金が大きくなると、精神的な余裕が生まれる。それが反作用として現れ、下方リスクを軽んじるようになる。「これだけ資金があるのだから、多少の損は大丈夫。むしろ、大きく儲けるチャンス」という感じだ。

どんなに上手な投資家でも、勝つことも負けることもある。チャンスばかりに目を向けるのは危ない兆候だ。

働きたくなくなる

「爆益」の金額にもよるが、それが末代まで遊んで暮らせるほどでない場合、労働意欲をなくさないよう注意したい。

株式の取引では、1日で何十万円と資産が増えることも珍しくない。パソコンやスマートフォンを触っているだけで、1ヵ月分の給料に相当する金額が手に入るのだから、毎日の通勤や上司からの叱責に耐えるのがバカらしく思えてくる。

ただ、上記の例にもあるように、勝つこともあれば負けることもあるのが株式市場。専業の株式トレーダーになる覚悟を決めたのならまだしも、そうではないのなら、毎月の固定収入としての給与はしっかりと確保し続けたい。

最近は、若いうちに金融資産を増やして労働から早期に引退する「FIRE」という言葉が流行している。しかし、それを果たすのはほんの一握りの人たちである。

過去に大きな利益を手にした人の体験談を鵜呑みにしてはいけない。その成功体験はタイミングなど外部環境の後押しを受けていた可能性がある。常にうまくいく手法があるなら、全投資家が大富豪になっている。1人の成功談の背後には無数の失敗談が転がっていることを忘れてはいけない。

もし大金を手にして労働への意欲が失われてしまうと、のちに社会への復帰も難しくなる。そういう意味でも働く習慣や「働くこと」への敬意は保ち続けなければならない。

キーワードは「これまで通り」

仮に株式市場で大勝しても、淡々と日常生活を続けることが大切だ。

宝くじで高額当選した人や数億円の印税を得たミュージシャンが、のちに金銭面で苦労したという話を聞いたことがある人は多いだろう。たくさんのお金があるからといって金銭感覚が狂ってしまうと、身を滅ぼしかねない。

そういう意味では「自分の力」も「お金の力」も過信することなく、なるべくこれまでの生活や価値観を崩さないことが、大きなポイントと言えるだろう。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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