一方で著者は、たびたび部会に出席する国会議員から意見を求められ、講師役を務めることもあった。防衛省の官僚が著者の横で根回ししている姿を見たことも、一度や二度ではない。
私が仕えた佐藤正久参議院議員も本書の中に登場するが、参議院選挙出馬前にイラク派遣の話を書籍化するに当たり、著者とのやり取りがあったようだ。職務外では日本論語研究会や歌手活動も展開しており、「私」を前面に出す著者は異色の党本部職員であった。
私が佐藤正久参議院議員の秘書になった2016年、自民党本部の国防部会に行くと常に末席には著者が座っていた。担当職員の指定席なので当然だが、入室してくるベテラン議員が足を止めて著者に挨拶する姿をたびたび目にして、普通の職員でないことはすぐに察知した。
著者の指定席だった国防部会の末席は、その後の異動で座る人間が変わった。平成から令和へと時代は移り、もう二度と著者のような職員は出てこないだろう。

防衛省・自衛隊HPより02
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