「脱皮できない蛇は滅びる」~ニーチェ~

PKO協力法から平和安全法制の成立まで、本書は平成を通して与党の防衛政策の変遷を見続けてきた著者の自分史である。

平成30年間で防衛政策や自衛隊を取り巻く環境は大きく変化した。しかし、それでも今もなお我が国の防衛政策を縛り続ける日本国憲法には、「平時の規定はあるが有事の規定がない」ことを著者は嘆く。日本国憲法を蛇の皮に例え、その皮を脱ぎ捨てる必要性をニーチェの引用で読者に訴えるのだ。

防衛省の役人も国会議員も担当が代わりましたが、自民党の国防責任者としての事務は全て私がやりました。

誤解を恐れずに言えば、著者は「政治家」である。約30年間、一貫して自民党本部で防衛畑を歩んできた自負が本書のあらゆるところで確認出来る。

私が知っている党本部職員は、ほぼ例外なく「私」を消して、徹底的に黒子を演じる。ある意味で、国会議員に仕える秘書と同じだ。個人的な思想信条やイデオロギーとは無縁で、実務に徹する。