
Tobias Barth/iStock
われわれ日本人は、ドイツといえば、合理的な国民性だと勝手に思っている向きがある。そして、その生真面目さからか、どこか日本と似通っていると思っている。『左傾化するSDGS先進国ドイツで今、何が起こって いるか』(ビジネス社)の著者、川口マーン 惠美氏はドイツに永く住んでおり、そういうことはないと思っていた。しかし、ロシアのウクライナ侵攻以降、その考えかたが変わってきたという。
ドイツと日本は、製造業が盛んだったり、キャッシュレス決済があまり好きでなかった り、原発をいきなり止めてしまったり、政治が少しずつ左傾化していったりと、確かに似 ているところはあります。しかし、皆が言うほど似ているわけではないと、個人的にはずっと思っていました。
しかも、平和ボケという点ではまさに一致するという。
何が似ているかと言って、とにかく完璧な平和ボケなのです。両国とも、危機感などと いうものは、ずっと昔にどこかに置き忘れてきてしまったよう。だからこそドイツも日本 も、米国から国防費を上げるとせっつかれても、のらりくらりとかわしてきたし、しかも、国民もそれが正しいという認識でした。 国防費など無駄な出費なのです。
また、ドイツ軍は日本の自衛隊が置かれてしま っている状況と似ているという。そして、ドイツは「理想」を装った言葉が一人歩きしてしまっている状況になってしまったのである。
「民主主義」の一人歩きです。 ドイツの政治家が二言目には「民主主義、民主主義」と、不自然なほど強調するように なってから、すでに7、8年が経ちます。そして当時、私が感じた違和感は、やはり正しかったと、今になって思います。実際にあの頃から、ドイツではかえって民主主義が衰退し、次第に自由に物が言えなくなりました。