率直に申し上げれば、まだまだ、もっともっと改善できたのではないかという想いはあります。

しかしながら、金融国会以来とも言われる異例の協議体が設けられ、与野党がそれぞれの立場やしがらみを乗り越えて、被害者救済に向けてここまで法案を創り上げてきたことは、国会史上に刻まれる大きな出来事であるとも思います。

遅々として議論が進まなかった時期も、舌鋒鋭く批判をしあったことも、折衷案で不十分になった点も多々あります。

しかし、もどかしさを抱えながら、異なる意見を持つもの同士が、それでもただ対話と議論によってルール・法律をつくりあげ、社会をより良いものにしていくこと。

これはまさに民主主義の核心であります。

本法案は、安倍晋三元総理が銃撃されるという、許されざる暴力事件が背景の一つにあることは否定できません。

そこで明らかになった社会悪に対して、立場も考え方も異なる政党・政治家が、ただ言論のみによって解決を試みた。そして、一つの法案を作り、成果を得た。

これは、暴力によって危機にさらされた私たちの民主主義を回復する上で、この上なく大きな一歩になったのではないでしょうか。

本法案の成立で問題が終わることは、決してありません。その実効性について、早急に検証を加え、法改正を試みなければならないのはもちろんのこと、そもそも本法案の範囲に入っていない関連問題も山積しています。

子どもの被害、いわゆる宗教二世と言われる方々に、どのように救済の手を差し伸べていくのか。そのためには、児童虐待防止法などの見直しも必要ではないか。宗教法人法や宗教法人の税制優遇のあり方は、果たしてこのままで良いのか。

この法律制定を契機として、私たちは目を背けることなく、さらなる立法や課題解決に取り組んでいかなければなりません。

被害者を救済したい。悲劇を二度と繰り返してはいけない。

それはおそらく、すべての政治家・議員に共通している思いです。与野党を超えて、引き続き被害者救済に向けて協力し、ともに歩みを進めていくことを心より願い、また私自身も先頭に立って邁進していきます。

最終日の対総理質疑と本会議討論の模様はぜひ動画でも御覧ください。

それでは、また明日。

国会議事堂 参議院HPより

編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2022年12月10日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。