こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

紆余曲折を辿った臨時国会、いわゆる「救済法案」が採決をされて閉幕となりました。

新法成立「ゴールではなくスタート」…宗教2世ら、被害者救済の実現願う

本法案についての賛否の判断は、最後の最後まで、非常に悩ましいものでした。

このいわゆる救済新法と法改正で、どこまで実効性を持って被害者を救済、被害を防止することができるのか。

自由な意思決定が困難な状態で、自発的な寄付を続けてしまう被害者およびその家族をどこまでこの法律で助けることができるのか。

債権者代位権の特例では、極めて限られたケースでしか被害者家族や子どもたちを救うことはできないのではないか。

党を代表する実務者として、策定プロセスのすべてに携わり、一つの法律にここまで長い時間向き合ってきたことは、私自身も初めてです。その立場から見て、本法案の実効性に対する懸念が完全に払拭されたとは、現時点でもなお、断言することはできません。

しかしながら、そもそも今臨時国会を振り返れば、当初、政府与党は新法成立に後ろ向きと言わざるをえない状況でした。

そこで我々は、被害者家族や専門家および宗教団体関係者からのヒアリングを重ね、救済新法の策定にいち早く着手を致しました。その後、立憲民主党と政策協力がスタートし、「悪質献金被害救済法案」を共同提出。

その議員立法の中には、立憲民主党の理解も得て、

いわゆる寄付の上限規制、違法となりうる高額献金の数値を目安として明記すること 「特別補助」制度を使って被害者家族や子どもたちが献金の取り消しをできる、過去の献金も含めて被害回復をできること

などが盛り込まれました。いわゆるマインドコントロール下にある被害者を救済するため、手段の悪質性と結果の重大性に着目し、行為規制を行う法律構成は、政府案よりも実効性が高く、適用範囲が広い、現実的な立法であったと自負しています。

この野党案の提出が大きなきっかけとなって開始された与野党協議会では、9回にわたり、時には約2時間にも及ぶ真剣な議論が繰り返されました。

この実務者協議を背景として策定された政府案には、いわゆる寄付の上限規制が禁止規定として一部盛り込まれ、自由な意思決定ができない状態での献金被害や、家族への救済についても、「配慮義務」という形で一定の対応を可能とする案が示されました。

その後、さらなる修正協議を重ね、

配慮義務の違反に行政処分が設けられたこと 配慮義務が総則ではなく「寄付の不当な勧誘の防止」の一節に入り、法律構成が変わったこと 「十分に」という文言でより強い対応を求める内容となったこと

等により、実効性が向上した点は、百点満点には遠くとも一歩前進として評価ができるものです。