5位は、逢坂冬馬氏の『同志少女よ、敵を撃て』(早川書房)で、文芸書の中では非常に健闘しました。1942年の独ソ戦でドイツ軍に村を襲撃され、ひとり生き残った少女セラフィマが狙撃兵として生きていくという、壮絶な筋立てかつ複雑な背景の物語で、これがベストセラーになるのはなかなか驚きです。ただし、今年も文芸書には厳しい年になったようです。

6位には、大川隆法氏『メシアの法「愛」に始まり「愛」に終わる』(幸福の科学出版)が入り、12位、14位には、『WORLD SEIKYO vol.2』 『WORLD SEIKYO vol.3』(聖教新聞社)が入っています。心の拠り所を欲するのは、高度成長期から変わっていないのかもしれません。

また、10位のたつき諒氏の『私が見た未来 完全版』(飛鳥新社)は、東日本大震災を予言した書として話題になった本の完全版として2021年に出版され、またたくまにベストセラーとなりました。

「老後」「健康」「お金」「生き方」「信仰」「予言」といった、ある意味で非常に現実的なテーマの本が売れ筋となっています。一度売れた本が売れ続けるということから、「損をしたくない」という消費者意識がますます高まっている様子がうかがえます。

一方、漫画ランキング(オリコン調べ)では、211万部を売り上げた『呪術廻戦 18巻』(集英社)で、部数は漫画のほうが圧倒的です。

出版科学研究所の調査によると、昨年2021年の紙と電子出版市場は1兆6742億円で3年連続プラスとなっています。2022年はどうなるでしょうか。