ただし、最近受けた健康診断の骨密度測定では、私の年齢平均の約2倍もあり、20歳代の平均よりも高かった。肺活量も依然として4000㏄近い。筋力は確実に衰えているが、骨は意外に衰えないものなのか?

しかし、この歳になっても、講演会に声がかかるのはありがたいことだと思う。ゲノム・がん・AIなど幅広く取り組んできたのでいろいろな話題を話しすることができるし、ヒトゲノム研究の歴史などを生身の体験として語ることができるのは、絶対に私しかいないという自負もある。

ヒトゲノム計画が正式に始まる1990年までの歴史をその中央現場で見聞した日本人は私一人だ。講演をする際のスライドも専門家向けの英語版から、一般の方にも理解できるようなイラストタイプまで5パターンくらい用意している。とはいっても、私の追っかけでもしていない限り、この5パターンのすべてを目にすることもないので、この努力は外からはなかなか見えない。

そして、最近コンサルから話を聞かせて欲しいとの複数の依頼があり、煩わしい。前回、拝金主義の出版社の論文審査は引き受けていない研究者の話を紹介したが、私はコンサルからの依頼は受けない主義だ。もっともらしい理由でコンタクトしてくる人は多いが、バカ高い料金で受託している彼らに、貴重な時間を提供して自分の経験や知識を提供する義理はない。

70歳の初回も愚痴になってしまった。

編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2022年12月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。