問題の根本は、「お金をどうするか」ではありません。働く人の割合が減っていることこそが問題であり、どんなにお金を増やしたところで、お金自体が働いてくれるわけではないんです。
そして、
モノやサービスを提供するために働く人がいること、将来、その働く人を増やすために社会全体で子育てをすべきであること、これらの視点が抜け落ちている。
と憂慮する。
僕も、政府はずいぶん前から、「少子化対策」を謳っているが、切実さが足りないように思う。少子化対策を担当する歴代の内閣府特命担当大臣を確認してみると、創設2007年から15年間で、22人が就いている。1人あたり平均1年も在任していない。明らかに軽んじているのだ。
不妊への補助などももちろん必要だが、何より親が、経済的にも、子育てをする上で不安がなく、産めるようにすることが不可欠だろう。つまり田内さんの言うように、「社会全体で子育て」をするようでなければ、少子化は止められないと思う。
また、日本の教育への公的支出は、OECD37か国中、なんと36位だ(2019年時点)。資源のない国日本にとって、人材を育てることは、何より大切なはずなのに、である。
知り合いの学者たちから、「世界に通用する論文を書ける学者の数が、日本は先進国で、最低レベルだ」という嘆きをよく聞く。日本の人材が枯渇しているのだ。
教育への投資などの社会保障は、国にとって厄介な荷物のように思われがちです。子どもが生まれ育っても、そのこと自体は、直接は国の収益として表れません。しかし、必ずそれは国の富、将来の国力につながるものです。そこに対して「財源がない」とか「子育て支援に充てるお金がない」という話は、本末転倒なのです。
この田内さんの言葉を、僕は政治家たちにぶつけたい。
※田内さんとの詳しい対談内容はこちらから


編集部より:このブログは「田原総一朗 公式ブログ」2022年11月25日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた田原氏、田原事務所に心より感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「田原総一朗 公式ブログ」をご覧ください。