田原総一朗です。

僕たちは、資本主義社会に生きている。つまり、お金中心で動いているということになる。物を買うのにも、旅行するのにもお金が要る。

より多くのお金を得られるよう、良い企業で働こうとする。そのために良い大学へ行こうとする。ますますお金中心の世の中となり、いつしかそれが「常識」になっている。

しかし、その常識に、異議を唱えている話題の本がある。その本『お金のむこうに人がいる』(ダイアモンド社)の著者、田内学さんと対談した。ゴールドマン・サックス証券でトレーダーをしていた方だ。

田内さんはこう語る。

「経済に関することは、お金で解決できる」と、世間一般には思われています。けれど現実には、お金を融通することである部分は解決できても、絶対に解決できないことがあります。

もちろん田内さんは、お金が不要だと言っているわけではない。例えば、将来少子高齢化が進み、高齢者だらけの社会になれば、働き手がいなくなる。どんなにお金があっても、働き手がいなければ社会も経済も立ち行かなくなる。

だから田内さんはこう主張する。