サッカーW杯、日本対クロアチア戦の感想を書く予定だったが、当方は日本とクロアチア戦の前日(4日)、フランス対ポーランド戦を観戦して、弾丸シュート2発を放った仏FWキリアン・エムバペの凄さに感動し、その余韻が今も残っている。

日本対クロアチア戦で前田が44分、先行のシュートを決める(オーストリア国営放送中継のスクリーンショットから、2022年12月5日)

エムバペのシュートは文字通り弾丸シュートであり、GKが動く前にボールはネットに突き刺さっていた。ひょっとしたら、GKがボールをキャッチしたとしても、ボールと共にネットに押し込まれてしまうのではないか、と感じたほどだ。タイミング、スピード、エムバペはやはり天才的な選手だと分かった。アルゼンチンのリオネル・メッシやポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドが抜けた後、エムバペが世界のサッカー界を引っ張っていくのはほぼ間違いないだろう。

もちろん、サッカー試合は個人スポーツではないので、イレブンの結束、連携なくして勝利は難しい。所属するチームでゴールを何度も打てる選手がナショナルチームでは本来の力をなかなか発揮できないのは、短期間での練習、調整だけで本選に出ていかざるを得ないので、コンビネーションやタイミングがもう一つ決まらないことが多いからだろう。例えば、カタール大会を最後のW杯と考えるメッシは今大会では得点を挙げているが、メッシのボールさばきは天才的だとしても、これまでW杯など国別大会では物足りない成績しか上げられなかったのは当然かもしれない。

それにしてもエムバペはまだ23歳だ。これからさらに伸びていくだろう。けがなどがない限り、サッカー界を引っ張っていけるスターだ。エムバペはカタール大会で既に5得点を挙げている。得点王の最有力候補だ。エムバペはW杯初出場のロシアW杯大会(2018年)では4得点だった。着実にパワーアップしている。

ブラジルからペレ氏(82)が闘病生活というニュースが流れてきた。ブラジル国民はペレ氏の回復のために祈りを捧げているという。ディエゴ・マラドーナが亡くなり、サッカーの神様と呼ばれたペレが死闘のベッドにいる。世界のサッカー界は新しいスターを見つけ、エムバペ時代に入ろうとしている。時間は止まらない。その非情さを痛感させるカタールW杯ともなった。