モンタセリ検事総長は2日、「議会と司法が、女性にスカーフの着用を義務付ける法律を見直すために調査委員会を設置する」と語った。同検事総長によると、「1、2週間で調査委員会の結果が発表されるだろう」というが、法律の何が変わるかについては説明しなかった。風紀警察は内務省の管轄だが、内務省は解体に関してこれまで何も発表していない。

モンタセリ検事総長の発表について、抗議デモ参加者は、「問題は風紀警察ではなく、スカーフの着用義務だ。女性はスカーフなしでどこにでも行けるようになるべきだ」と主張し、「風紀警察の解体は最初の一歩にすぎない」と述べている。

ちなみに、風紀警察は2006年、超保守派のマフムード・アフマディネジャド大統領の下で設置された。曰く、「品位とヒジャブの文化を広めることを目的」としてきた。風紀警察はイラン社会では常に物議を醸すテーマだった。イランの女性は1983年以来、スカーフを着用しなければならない。

ライシ大統領は3日夜、国会議長のモハメッド・バガー・ガリバフ国会議長とゴラム・フセイン・モフセニ・エドシェヒ法相らと緊急会議を開いている。協議の内容は公開されていない。ライシ大統領は3日、テレビで演説し、「私たちの憲法は、強力で不変の価値と原則を有している。しかし、その内容を柔軟に実施する方法はある」と述べ、女性への服装規定について柔軟に解釈する可能性を示唆している。

なお、アフマド・ワヒディ内相は4日、抗議デモに関する調査委員会の設置について、「デモ参加者も制度批判者も他の政党も同委員会に参加することはできない。調査委員会は抗議の根源を探るためのものであり、関連当局と独立した法律専門家のみが委員会での議論に参加できる」と説明した。抗議デモ参加者たちからは、「抗議運動の指導者や野党政治家の参加なしに抗議活動を調査しても建設的な結果は得られない」と指摘し、調査委員会の設置案を「ばかげている」と一蹴している。

抗議デモ参加者は5日から全国でデモとストライキを計画している。ストライキは3日間続くという。ライシ大統領は7日、イランの「学生の日」にテヘラン大学を訪問する予定だが、抗議デモはその日に最高潮に達する。イラン各地でデモ参加者と治安部隊の衝突が懸念されている。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2022年12月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。