北海道の某都市の建設会社に勤める友人から聞いた話です。
友人の会社では、冬場に除雪を請け負う事があり、友人も毎年除雪車などに乗って道路の除雪を行っています。
除雪作業には、雪を路面から取り除く除雪に加えて、除雪で溜まった雪を捨てに行く「排雪」の作業があります。
春間近のある日
春も間近になった深夜、友人は同僚と排雪作業を行っていました。友人は特殊車両を運転し、同僚は交通整理をしていました。
除雪で出来上がった雪山は、氷や滑り止めの砂利が混じる為非常に硬く鋭くなります。排雪用の特殊車両は、これを回転する爪で砕きながら吸い込み、細かくなった雪氷の欠片をダンプに吹き出して積み上げていきます。
当然、作業には厳しい安全確認が求められます。
生真面目な性格の友人は同僚の位置と通行人の有無、更に、一緒に作業を行っている他の事業者の作業員などに気を配りながら作業を進めていました。
砕かれたもの
昨日、かなり気温が高かった事もあってか、雪山はガチガチに固まっていて、作業は随分時間がかかりました。
友人はふと、奇妙な手応えを感じました。
まさか、と思い前方やミラーを確認すると、同僚も他の作業員も無事でした。
ホッとして作業を続けようとした時。
もの凄い悲鳴が上がりました。
驚いた友人は、機械を停止させました。
勢いが余ったのか、何かに反射したのか雪の塊が跳ねて、友人の目の前のフロントガラスに付着した時。
友人も思わず悲鳴を上げていました。
付着した雪から半分のぞいていたのは、人間の腕でした。