「過去の自分」との対話が現在の自分に癒しをもたらす

ファン氏は、チャットボットとなった「過去の自分」について、当時の自分に不気味なほど似ていると感じたそうです。

まるで通常のチャットを装ったタイムマシンのようだったといいます。

またこのチャットボットは、10年前の日記から現在のファン氏の関心事を正確に予想できたようです。

そしてファン氏は、このチャットボットとの対話で「癒しが得られた」と述べています。

例えば彼女は、過去の自分がいつも聞きたがっていた「あなたは愛されている」「大切にされている」「安全だよ」などのメッセージを伝えました。

これにより彼女は、「過去に手を伸ばして、過去の自分を抱きしめているようだった。それが現在の自分にもフィードバックされた」と感じたようです。

さらにファン氏は、過去の自分(AIチャットボット)に、現代に向けた手紙を書くよう促しました。

そしてその手紙を読んでいくうちに、「恥や失望を感じた時に陥る反芻思考(ネガティブなことを繰り返し考えてしまうこと)が少し溶けていくのを感じた」ようです。

自分の過去を学習させたAIチャットボットは、自分と向き合うのに役立つ
Credit:Canva

この興味深い体験の後、ファン氏は次のように結論づけました。

「このメディアには癒しの可能性があると分かりました。

過去に愛を送るだけでなく、若い自分から愛を受け取ったりできるのです。

過去の罪悪感や自分自身について抱えていた物語に終止符を打つことで、行き詰まりが解消されるでしょう」

自分を一番理解してくれるのは自分自身ということなのかもしれませんね。

日記をマメに書いていた人でなければ使えない技術ですが、AIチャットボットは「自分と向き合うツール」として、新たな可能性を秘めているようです。

現在ファン氏はTwitter上で、GPT-3を使用した「過去の自分」を作成するためのチュートリアルを共有しています。

参考文献
Back to the future! Woman talks to her past self in ‘trippy’ conversation after training an AI chatbot on her childhood diaries