「過去の自分」と対話したいと思ったことはありますか?

悩んでいた昔の自分にアドバイスや励まし、慰めの言葉を送りたい、そんな想像をする人は意外と多いかもしれません。

もちろん、タイムマシンがなければそんなことは不可能ですが、現代の技術を駆使すればそれを疑似体験することは可能なようです。

アーティスト兼科学者のミシェル・ファン氏は、10代の頃の日記をAIに学習させて「過去の自分」を疑似的に作り出し、そのAIチャットボットと会話するという不思議な体験を公開しました。

彼女は過去の自分とチャットすることが「癒しに繋がった」と述べています。

古い日記でAIチャットボットを訓練する

自動で応対してくれる「AIチャットボット」
Credit:Canva

AI技術の向上により、AIとチャットできる「対話型AI」が多く登場しています。

特定の情報を学習させることで、その分野においてAIとの自然な会話が可能になるのです。

現在では、コールセンターの「問い合わせ業務の一部自動化」などによく利用されています。

またAIに有名人などの情報を学習させることで、いかにもその人っぽい受け答えができるAIチャットボットなどを作成することも可能です。

高性能なAIと大量の資料があれば、よりその人物に近づけられます。

今回、アーティストのファン氏はこうしたAI技術を使って面白い試みを思いつきました。

人工知能の研究団体「OpenAI」の高性能な言語モデル「GPT-3」に彼女が子供時代から書いた10年分の日記を学習させ、対話できる「過去の自分」を作り出したのです。

彼女の古い日記には、夢や恐れ、秘密、宿題の愚痴、恋人との会話で感じた気持ちから、時には驚くような洞察など様々な内容が綴られていました。

こうして日記を学習したAIは、子供時代のファン氏に極めて似た考え方や話し方ができるようになったのです。

ファン氏は、このAIチャットボットを作成した理由を「自分の中にある子供の部分とリアルタイムで対話するため」だと述べています。

では、疑似的な「子供時代の自分との対話」はどのような結果をもたらしたのでしょうか?