②イラン製ドローン(無人機)の主要部品は欧米製
ウクライナで撃墜されたイラン製無人偵察機から収集された情報によると、UAV(Unmanned aerial vehicle=無人航空機)のほとんどの部品が米国、ヨーロッパ、およびその他の同盟国の企業によって製造されているという。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、この情報はウクライナ国営通信社「ウクリンフォルム」による。
同報告によると、「ウクライナで撃墜されたイランの無人偵察機のコンポーネントの4分の3は米国製と推定していることから、西側の当局者やアナリストの間で懸念を引き起こし、米国政府の調査を促している」という。ウクライナの捜査官の説明によると、この調査結果は、ウクライナ軍がイランのMohajer-6無人機を含む数機の無人機を撃墜した後に行われたものだ。
なお、ロシアのプーチン大統領はイランから無人機を購入してウクライナ戦に投入している。
③ドイツ経済省の「対中国戦略」ドイツのロバート・ハベック経済相は、ドイツ企業の中国ビジネスを今後詳細に調査する意向だ。ニュースポータル「ザ・パイオニア」が1日報じたもので、経済省で作成された極秘の「中国戦略」がその土台となっているという。
経済省の文書によると、中国が遅くとも2027年までに台湾を併合すると想定している。これは人民解放軍の創設100年にあたる年だ。中国との経済的な結びつきを考えると、ドイツは北京からさまざまな脅迫を受ける状況に置かれると予想されている。
ポータルによると、100ページに及ぶ同戦略文書についてはショルツ3党連立政権(社会民主党、「緑の党」、自由民主党)内でまだ審議されていないが、ハベック経済相は先月29日、経済省幹部会でそれを受け入れ、対策の迅速な実施を約束したという。例えば、中国市場で事業を大きく展開しているドイツ企業には事業内容の報告義務を導入する計画だ。要するに、ドイツ経済の中国依存を縮小する狙いがある一方、中国市場に代わってアジア、南米、アフリカなどへの経済活動の活発化を促している。
ドイツ連邦政府は11月9日、中国系企業によるドイツの半導体関連企業の買収を不許可とする閣議決定を行った。ドイツの「エルモス・セミコンダクター」の西部ドルトムントにある半導体工場をサイレックス・マイクロシステムズが買収する投資計画について、サイレックス・マイクロシステムズはスウェーデンの同業の半導体メーカーだが、親会社は中国の賽微電子(サイ・マイクロエレクトロニクス)だ。
それに先立ち、ショルツ連立政権は10月26日、ドイツ最大の港、ハンブルク湾港の4つあるターミナルの一つの株式を中国国有海運大手「中国遠洋運輸(COSCO)」が取得する問題で、ショルツ首相は中国側の株式35%取得を25%未満に縮小し、人事権などを渡さないという条件を提示し、ハベック経済相(兼副首相)やリントナー財務相らを説得、閣議決定した経緯がある。中国企業がハンブルグ港への出資を増やすことを認めたというニュースは欧米では懸念を誘発させた。なお、ドイツのオラフ・ショルツ首相(社民党)は11月初め、就任後初の中国公式訪問をし、ドイツと中国間の経済関係の強化などで一致している(「独首相訪中はタイムリーだったか」2022年11月5日参考)。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2022年12月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。