スタジオジブリの名作アニメ「天空の城ラピュタ」。主人公の少年パズーが、ムスカ大佐から金貨3枚を受け取るシーンがある。かなり高い価値があると思えるが、現代の日本ではどれほどになるのだろうか。想像力を膨らませながら予想してみた。

パズーが受け取った金貨の重さ、サイズは?

「ラピュタ」は1986年に公開された。リアルタイムで見たことがある人もいるだろうし、テレビやDVDで子供と一緒に楽しんだ人もいるだろう。パズーが金貨3枚を受け取るのは、飛行石を持つシータがとらわれた後のことだ。シータを取り戻すことをあきらめるよう、手切れ金のような意味合いで金貨が手渡されている。

現代の金貨なら1/2オンスに相当か

パズーの年齢は諸説あるが、いずれにしても10代前半とされている。映像を見ると、金貨1枚の大きさは彼の手のひらの半分には足りず、3枚とも握りしめてしまえるほど。そのサイズの金貨を現代の法定通貨から探し出してみよう。

現代の金の国際取引単位はオンス(1オンス=31.1035グラム)で、いくつかの国が発行している法定通貨には、1オンス、1/2オンス、1/4オンスなど数種類のサイズがある。有名なカナダの「メープルリーフ金貨」の直径は、1オンスが30ミリ、1/2オンスが25ミリ、1/4オンスが20ミリだ。

アニメ中の金貨がパズーの手のひらの半分に少し満たないことを考えると、1オンスでは大きすぎ、1/4オンスではやや小さいように思える。そこで、1/2オンス金貨に相当すると考えたい。

ちなみに、作中の金貨はそれなりに厚みもある。メープルリーフ金貨の1/2オンスは厚さ2.2ミリなので、この点でも合致しそうだ。

パズーにとってかなり高額?

パズーが受け取ったのが1/2オンス金貨だとすると、その金額はどれほどになるのだろう。参考にしたいのは、金の販売や買い取りを手がける「田中貴金属工業」が公表している店頭小売価格だ。田中貴金属工業が公表する地金の小売価格は、日本国内での取引の指標にもなっているからだ。

11月18日午前9時30分に公表されたメープルリーフ金貨1/2オンスの店頭小売価格(税込み)は、14万7,889円。3枚なら単純計算して、44万3,667円になる。

この金額が多いのか少ないのかは議論があるだろうが、両親と死別し、機械工見習いとして働いていたパズーにとっては、十分に高額といえるのではないだろうか。

パズーは金貨を受け取った後、投げ捨てようとして、結局、投げるのをやめてしまう。この理由について、作品のファンの間ではさまざまな臆測を呼んでいる。しかし、その価値を考えると仕方のないことかもしれない。

金の価格はどう決まる?

ただ、ここで注意したいのが、あくまで11月18日時点の金額であることだ。

金は、ニューヨークやロンドンなど海外の金市場で24時間取引され、需要と供給の関係によって、刻々と価格が変動している。しかも、アメリカドルで取引されているため、日本での小売価格にはアメリカドルと円の為替変動も大きく影響する。

田中貴金属工業が公表した11月18日の金1グラム当たりの小売価格(税込み)は8,796円。これは歴史的に見ても、かなり高い水準にある。実は、今年3月に8,000円を初めて突破したといい、そこから上下動しながらも、大幅に上昇している。

紙幣や債券、株式といった「紙の資産」は、発行する国や企業が財政難に陥ったり、倒産したりすると、信用がなくなって価格が下落する。最悪の場合、価値がゼロになってしまう恐れもある。

それに対して、金はそれ自体に価値がある「現物資産」だ。美しい光沢を放ち、希少性が高い金の価値は、世界共通で認められている。決して価値がゼロになることはなく、換金性が高いことに加えて、インフレにも強い。

国際情勢や経済状況が混乱すればするほど、「紙の資産」に回っていた資金が金に向けられ、需要が増した結果、金の価格が上がるわけだ。「有事の金」といわれるゆえんだ。

3月に8,000円を超えたのは、ロシアがウクライナに侵攻し、国際情勢が不安定になったことが背景にある。その後の価格の上昇は、円安が大きく影響しているようだ。

金は「守りの資産」

有事の際に「紙の資産」の価値が下落する傾向がある一方で、そのようなときこそ強みを発揮する金。有事のリスクを軽減し、資産を防衛するためにも、投資先として検討する意味がある。

主な投資手法は、以下のものがある。

・金の延べ棒や金地金、金貨といった現物を購入
・毎月少しずつ、金を購入していく純金積立
・金に投資できる投資信託やETF(上場投資信託)

ただ、金への投資はメリットも多いが、現物購入の場合は盗難や紛失の恐れがあることに加えて、利息や配当を受け取れないなど、デメリットもあるので、十分に注意したい。

関心が出たなら、これらの商品を取り扱っている専門店に問い合わせをするか、金融機関のサイトを参照してみてはいかがだろうか。

文・MONEY TIMES編集部

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