今回はサカナを生食する際の6つの代表的な危険性と回避方法についてお伝えします。

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サカナの生食に伴う6つの代表的なリスクと回避方法 鮮度は関係なし?

新鮮な釣魚の生食

魚釣りは釣って楽しいだけではなく、スーパーなどでは買うことが出来ないサカナや釣って間もない新鮮なサカナを食べられることが最大のメリットと言えます。

しかし、中には生食をすることがかえって危険で、最悪の場合、命に関わってしまうサカナもいます。今回はそんな生食が危険な理由と、注意点等を見ていきましょう。

危険を事前に知ることが防衛策にもなります。

生食リスク1:アニサキス

これからの時期、寒くなると増えるのがアニサキスという寄生虫による食中毒です。

イカやブリなどの青物、タラなどにはアニサキスという寄生虫がおり、この幼虫が寄生している魚介類を食べた数時間後に幼虫が主に消化管の壁に食いつくことによって急な腹痛などが起こります。

サカナの生食に伴う6つの代表的なリスクと回避方法 鮮度は関係なし?アニサキス(提供:茸本朗)

非常に強烈な腹痛で原因となる魚介類を食べて数時間から数十時間後に強い上腹部の痛み、嘔気・嘔吐を起こします。

アニサキス症は、緊急で命にかかわるような病気ではありませんが、痛みによる苦痛が強いため、速やかな検査と治療が望まれます。

回避方法

アニサキス症の予防方法はもちろん魚介類の生食を避けることですが、ほかにも加熱(60度で1分以上)、冷凍処理(マイナス20度で24時間以上)もアニサキスの幼虫が感染性を失うため有効な方法だと言われています。

また、アニサキスの幼虫はもともと内臓に寄生しており、釣ってから間もない新鮮なうちに内臓を摘出してアニサキスの幼虫が内臓から筋肉への移動を防ぐのも、感染予防方法として非常に重要だと言われています。

生食リスク2:シガテラ毒

あまり聞き馴染みのない毒かもしれませんが、シガテラとは、熱帯・亜熱帯のサンゴ礁の周辺に生息するサカナによって起こる食中毒の総称です。

中毒の原因はシガトキシンなどの天然毒で、シガトキシンは海草などに付着する渦鞭毛藻(うずべんもうそう)と呼ばれる微細藻の一種によって生産され、その微細藻を魚介類が食べ、食物連鎖によって魚に蓄積し毒化が起こるとされます。

吐き気や嘔吐、腹痛、下痢、口の周りや手足のしびれ、関節痛、血圧低下、ドライアイスセンセーションなどが主な症状です

ドライアイスセンセーションとは、冷たいものに触れるとビリビリと痛みを感じる温度感覚異常のことを言い、シガテラの中でも特徴的な症状の一つでしょう。

一般に死亡率は低いとされていますが、回復は遅く、完全回復まで半年~1年ほどかかることもあります。

また、現在のところ、シガテラの効果的な治療法は確立されていません。

回避方法

シガテラの原因となった魚類としては、オニカマス、バラハタ、バラフエダイ、イッテンフエダイなど主に熱帯や亜熱帯に生息するサカナが有名です。

サカナの外見から毒性を判断することは難しく、またシガテラ毒は熱に強いため、加熱調理しても無毒化することはできません。

そのため、シガテラを予防するには、シガテラの原因と考えられる魚類を食べないことが非常に重要です。