これが最大の争点だった海水注入の場面。再臨界とは無関係なので、彼は一般論として「(東海村のような)再臨界の可能性はゼロではない」と答えたが、菅首相は「海水を注入したら再臨界=核爆発する」と誤解し、海水注入をやめさせようとした。
問題になった東電の清水社長の「撤退」発言は、もともとなかったのだが、菅首相がどなり散らして、現場は混乱した。
小佐古内閣官房参与の「涙の記者会見」で1mSvが一人歩きし始めたが、なぜ泣いたのか、本人もわからない。彼はもともと「20mSvでも低すぎる」という立場だったのに、記者会見で急にヒューマニズムを演じたのだろうか。
線量基準やSPEEDIなどは文科省の管轄なのに、みんな逃げていなくなった。おかげでSPEEDIの「隠蔽」が騒がれ、班目氏がマスコミに追及された。
まるで本人は被害者のように描かれている。たしかに菅首相の興奮ぶりは異常で、役所の責任逃れもひどかったが、ふだんから緊急時の体制を考えておかなかったから、こういう大混乱になったのだろう。そういう体制づくりも安全委員会の仕事だ。いざとなったら素人の政治家には何もできないのだから、それを「天罰」などと笑っている場合じゃないだろう。