政治ジャーナリズムの覚醒を求める
1か月で3人の閣僚が辞任し、後任の総務相にも「政治とカネ」の問題が指摘され、さらに岸田首相には「宛名のない領収書」疑惑が浮上しています。こうしたドミノ倒し現象は、自民党政治の異常事態ではなく、新常態(ニューノーマル)なのでしょう。
「新常態(ニューノーマル)」というより、以前から自民党政治で恐らく常態化していたのでしょう。そういう意味では、異常事態ではなく、「常態化事態」、つまり「常態事態」といってもよい。
1人ずつ単発で問題が表面化すれば、釈明し、不備を詫びれば幕引きできたのかもしれません。それが次々に不祥事、不手際が連続すると、自民党政治の構造、体質の問題に拡大し、一つ一つを切り離せなくなる。一気に「常態化した自民党政治の病巣」への対応が必要になったと思う。
新聞論調を読むと、政治ジャーナリズムは覚醒してほしいと感じます。日経社説は「一か月足らずで閣僚が3人の辞める異常な事態である」と指摘しています。毎日は全く同じ表現で「異常事態である」と、読売も「異常事態だ」と嘆いています。
政治ジャーナリズムは「異常事態どころか、常態化した自民党政治の構造、体質に問題がある」となぜ指摘しないのか。「異常事態」なら対応によってしのげる。「常態事態」なら長期にわたる構造改革、体質改善なしに、政治を正常化できません。
3人の辞任、更迭の理由は、旧統一教会との接点の問題(山際経済財政・経済再生相)、「死刑執行にハンコ」という職責を軽んじる発言(葉梨法相)、政治資金収支報告書のずさんな管理(寺田総務相)と、不祥事や不備・不正の類型が見事に勢ぞろいしています。
「旧統一教会問題とは無縁」という理由で起用されたらしい松本総務相には、さっそく政治資金の処理における規制違反の疑いが浮上しました。さらに「本人たちに丁寧な説明を求める」と言い続けてきた岸田首相にも、「宛名書きのない政治パーティー領収書発見」の疑惑が浮上した。
これが事実だとすれば、首相自身の説明、釈明が問われます。3人の閣僚を更迭、辞任に追い込んだだけに、首相自身はどう身を処すのか。首相自身の発言が自分自身に跳ね返ってきました。