女性が入りやすいよう売場構成を工夫

吉祥寺店の商品構成のポイントは、レディスの充実だ。去年10月にオープンした錦糸町店のレディースは59アイテムだったが、吉祥寺店では84アイテムに増大(124%)し、全店舗中トップクラスの商品数とした。
「レディスの割合は全商品の32%を占め、ユニセックス商品も多いことから女性にとっては60%以上の商品が購入対象になっている」(同)
店舗内の売場構成は、女性の入りやすさと動線を意識した。エスカレーターを上ってきた女性の目に留まりやすいよう、入口付近にレディスを配置。店内を奥に進むと、メンズ、キッズ用品、キャンプ用品、ワークマンシューズと続く。
「まずは女性を呼び込み、店内を歩いているうちに男性用アイテムも見つけていただけるような配置と動線にしている。百貨店自体ご夫婦で訪れる方が多く、平日の入店率は女性が高いが、休日は半々の比率になる」(同)
生産ラインを増やし、ロードサイド出店へ

オープン直後から高売上を記録した吉祥寺店だが、社全体では商品の生産が追いついていない状態だという。供給を間に合わせるため、工場のライン増幅を画策中だ。
「他社商品を作っている既存の工場に対して、当社の商品を1ライン増やすのではなく、工場全体で自社商品を作ってもらうよう提案を投げかけている。工場を集約することで生産キャパが一気に上がるため、正月明けから自社商品のみの新しい工場で生産ラインを増やす予定だ」(島氏)
課題は生産量の確保だけではなく、商品提案力にもあるという。“顧客の日常生活の課題解決”にアプローチできていない点だ。
「たとえば、撥水加工のボトムスだったら子どもが何かをこぼしても親は怒らないで済むなど、『こんなシーンで着ていただくと、こんなお悩みが解決します』といった課題解決力を持った商品の特徴や魅力を、しっかりとお客さまに伝えていきたい」(同氏)
そうした課題はあれど、百貨店への初出店、目下の予算達成に成功したワークマン。ブランド価値向上へ一歩踏み出したといったところだが、今後のさらなる展望を島氏は語る。
「ロードサイドの出店も増やしていきたい。『あのワークマンって池袋や吉祥寺にもあるお店なんだ』とお客さまに思ってもらえたら、ロードサイドの店舗でも近隣住民の方々により足を運んでもらいやすくなるのではないかと考えている」(同氏)
提供元・DCSオンライン
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