高橋洋一さんは財務省が650兆円の資産を隠していると暴露本を出していますがこれなどは明らかに貸借対照表における資産の話です。これとキャッシュフローをどう結び付けるかといえば経営している人は分かると思いますが、資産を売却したり運用益を反映すればキャッシュフローはプラスに転じます。

もう一点は国の歳入である収入は我々がよく知る一般税収です。では高橋氏のいう650兆円の貸借対照表は何処にあるのでしょうか?それだけの資産がどこかにあり、仮に年3%のリターンがあれば毎年20兆円の利益がどこかにあるはずなんです。つまり財務省が財務省帳簿と国家予算のコンソリデーション(連結)をしたら一発でわかるのですが、残念ながら隠すわけです。ならば、公認会計士の監査は通らないでしょうね。

財務省と日銀もチキンレースをしています。日本の金利が上がらない最大の理由は財政が利払い増で傷むことを防ぐためです。それが誰が何と言おうと最大の理由だと考えています。それなのに個人の住宅ローンが不良化するとか中小企業の経営が悪くなる、と目線を変える理由をこじつけるのです。

国債の利払いとレベルが違うし、そもそも金融の量的緩和は金利の引き下げを更に深掘りする代替策であって、イールドコントロールは日銀が国債の利回りを極端に引き下げた状態で安定化させ、財務省が管理する利払いを抑える役目です。

黒田総裁は財務省出身ですので当然財務省を慮る気持ちはあるのです。今度の日銀総裁候補である中曾さんも雨宮さんも日銀出身なのでじわっとした政策転換があり、円高へのバイアスがかかるだろうと私が考えているのはこの辺りにもあるのです。

最後に財務省のもう一つのお宝をご紹介しましょう。日本の家計が保有する金融資産は2000兆円とされ、そのうち、60歳以上が所有する資産が1300兆円あるとされます。ということは今後20〜30年のうちにその1300兆円がほぼ相続税ないし贈与税の対象になるのです。

相続税収は概ね毎年2兆円強あり、消費税に比べれば1/10程度なのですが、この税収は今後右肩上がりで上昇が期待できるので消費税を1〜2%上げて数兆円確保するような議論など全く必要なく、確実に収入増が期待できるはずです。

勘定奉行の懐具合は何があっても揺るぎません。奉行さまはいつも高笑いです。

 

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年11月23日の記事より転載させていただきました。