上述のストーリーの通り、日本はまず、技術系と事務系、官僚ならキャリアとノンキャリアといった具合に人の潜在能力より所属をベースに色分けをします。そして色ごとにきちんと仕分けするのが日本的なのです。いかにも日本人の大好きな整理整頓のような話です。更に専門組織の中で更に細分化され、技能や経験で「あの人は…」という色付けをします。いわゆる人材比較論です。そして「凄い」と称される人は極端な話、崇められるほどになるのです。これでは若手や才能が見いだされなかった社員にはなかなかチャンスが訪れない組織形態とも言えます。

もう一つは組織同士の関係が薄いのです。「おらが部署」「おらが組織」の思想が非常につよく、組織はより保守的になり、「牙城化」します。これは役所や大企業に特に多く見られます。例えば各省庁は「金のなるお宝」法制度を結構抱えています。それだけは家宝の如く絶対に「見せない、上げない、触らせない」のです。大企業の場合は子会社、関連会社を山のようにもつことで人材の振り分けをします。一定年齢になると居場所がなくなるので外の会社に出向させ、そのかわり、肩書が一つ、二つ上がります。そこで1-2年我慢すると「転籍」となり、自分がいたあの「大企業様」とは「永久のお別れ」となります。

これらの例は本来大きな組織のはずが、どんどん細分化され、能力のベクトルが散っていくのです。そんな事で苦しんだ会社は数知れずあります。有名どころではかつての日産、日本航空、更にソニーもそうでした。が、それらの会社はあるところで気がつき、あるいは誰か強い指導者が現れ、組織の無用な壁が壊され、風通しを良くすることで問題解決を図りました。

先日、当地の大手にお勤めの方が「事務所が2フロアから1フロアになる」と。その上で会社の座席が自由席になるそうです。これで違う組織の人とフラットなやり取りができ、思わぬ発見ができるチャンスが生まれることでしょう。コロナが生んだ発見と改革に背中を押された形でしょうか?北米の事務所は個室型、日本の事務所はシマ型です。どちらも古いスタイルです。双方とも自分に指示されたタスクをこなすという受動的職務になりやすく、能動型、提案型が生まれにくい形態かもしれません。

組織は暑苦しいほどタイトにくっつくよりナチュラルな距離感を置きながらよりオープンにしていくのが今の流れではないかと思います。大事な戦力をあまりに色付けすることは多様化する社会の中で決して得策ではないと思います。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年11月20日の記事より転載させていただきました。