これは最近の政府がよく使うフレーズですが、実は何もしていなくてもわからない。昨日、総理大臣はバンコクで中国の習主席と会談され、その翌日にこのような事態となりました。中国は北朝鮮の後ろ盾であり、ミサイル発射を容認しているのはほぼ確実ですが、その中国を通じて何をどう伝えたのか。政府にはきちんと答える義務があるのではないでしょうか。

その他にも、落下予想地点にいる航空機や船舶に情報を伝達したと言うが、伝えた後にどのような行動をとるべきかについて事前に指示をしていたのか、今回の軌道はおそらくミサイルからの電波をキャッチできるのが北朝鮮国内に限られるからなのであり、実際にはどこに落下したのか、それはどの国がどのように把握するのか、画像情報をとる周回衛星の機数を増やせば、発射の兆候を把握できるようになるのか…等々の私の問いに、誰も明確に答えませんでした。

これは一体どういうことなのでしょうか。北朝鮮側の相手が「手の内を明らかにする」ので言えないというなら、せめて日本側の誰が発信したのかくらいは報告できるはずです。これほどにミサイルを発射されて、今までと同様の対応で良いはずはありません。これは政府が与党をも軽視している、ということなのでしょうか。官僚は国民を見くびっているのか、それともモノを言えば、自分の立場が危うくなるので発言をしないで黙っているのでしょうか。

野党ではなく、自民党こそがもっときちんと監視をしなくては、この傾向は変わらないように思います。相手が政府であろうと、言うべきことを言わないのは、与党議員としての責任を放棄することだと私は思っております。

加えて、政府に設けられた「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」の内容とされるものが某紙に掲載されていましたが、その内容自体はともかく、なぜ与党への説明や与党との協議がなされる前にこのような記事が出るのでしょう。情報管理の甘さを非難すべきか、意図的に流したと考えるべきか、いずれにしても政府と与党との信頼関係、政府と言論の緊張関係に大きなヒビが入ってしまいます。危機感を持つのは私だけなのでしょうか。

国内総生産は年率換算で1.2%の減少

内閣府が発表した7~9月期の国内総生産の速報値は年率換算で1.2%の減少とのことでした。これは主に個人消費の伸び悩みによるものですが、ではなぜ個人消費が伸び悩むのか。結局、「大胆な金融緩和を行い、物価が上昇すれば個人消費は上向く」のではなかった、ということではないでしょうか。原因はやはり、将来不安を払拭できないことにあるのではないでしょうか。

社会保障に裨益することの少ない非正規労働者は、多少の賃金上昇があっても貯蓄に回し、消費に向かわない。これは実は正規労働者も同じなのではないか。多くの企業が最高益を得、賃金として「分配」しても、社会保障制度を改革しない限り、個人消費は上向かないように思います。

11月も後半となります。皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。

編集部より:この記事は、衆議院議員の石破茂氏(鳥取1区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2022年11月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は『石破茂オフィシャルブログ』をご覧ください。