オン・オフ問わないデザイン性が時代にマッチ
その後もセレクトショップを中心に販路を広げ、2011年には有楽町阪急メンズ東京店に初の直営店をオープンするなど、順調に成長していったブリーフィング。購買層の約8割が男性で、ビジネスバッグの印象が強いが「ビジネスシーンだけでなく、ライフスタイル全般に対応したバッグが、創業以来のブランドコンセプト」と亀山氏は強調する。
同じバリスティックナイロンを使用したビジネスバッグとしては「TUMI」があるが、ブリーフィングはビジネスシーンに寄り過ぎず、オン・オフを問わずさまざまなシーンに溶け込めるデザイン性で差別化を図ってきた。
そのブランドコンセプトに、実は時代が追い付いてきた側面もあるようだ。2011年の東日本大震災を機に、ビジネスシーンにおいてもリュックの利用が増えたが、ブリーフィングの提案するデザインがそのトレンドにうまくマッチした。一番人気の3WAYバッグ「NEO TRINITY LINER」もこの時期に誕生した。
2020年のコロナ禍以降は、「ビジカジ」が一時的な流行から普遍的なスタイルへと定着しつつある。このトレンドの変化に対しても、ブリーフィングの「オン・オフ選ばず使い続けられる」ブリーフィングのブランドコンセプトが結果として支持を集めている。ここに、ブリーフィングの強さの秘密があるようだ。
ブランドを支える「スタッフ」と「ファン」の存在
さらに、ブリーフィングの好調を支える要因として「スタッフの力を抜きには語れない」と亀山氏は付け加える。
「店舗スタッフは、自身がブリーフィングの大ファンという者が多い。そのスタッフ一人ひとりがお客さまとの関係を丁寧に築いてくれたからこそ、コロナ禍以降もすぐに回復することができた」
ブリーフィングのECサイトには、全国の店舗スタッフがバッグなどのアイテムを掲げる画像が並び、思い思いに商品の魅力を伝えている。また、顧客の中にもSNSで「BRIEFINGゴルフを愛する会」などのファンコミュニティを運営するなど、根強いファンが多い。長い年月をかけてこういったファン層を築いてきたことも、“レッドオーシャン”のビジネスバッグ市場においてブリーフィングの地位を揺るぎないものにしているといえよう。
「こういったファンの皆さまとオンライン・オフラインで交流できる場もこれから設けていきたい」と、亀山氏も顧客エンゲージメントの一層の強化を今後のテーマに挙げる。
今日では、定番のビジネスバッグや好調のゴルフラインに加え、レディース用のトートバッグやアクセサリー、トラベルラインなど、ブリーフィングが展開するラインナップはまさに生活のさまざまなシーンにわたっている。バッグだけでなくアパレルも強化しており、近年ではヨガやフィットネスなどのアクティブシーンに対応した新カテゴリー「ALG(アクティブライフギアの略)」も立ち上がった。
今秋には、9月2日の「京都藤井大丸店」のオープンを皮切りに国内に6店舗を出店するなど、コロナ禍にあって攻勢を強めるブリーフィング。これからもライフスタイルの変化をとらえた新しい提案を私たちに見せてくれるだろう。
提供元・DCSオンライン
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