ポップアップショップで約1000人が来場!

ラ・ファーファの人気モデルたちがプロデュースしたアイテムも揃い、いよいよ販売の態勢が整ったところで、プラスサイズブランド7社と協力し、オンラインショップの開設に先駆け2022年7月に3日間のポップアップショップを開催。すると、ラ・ファーファ誌面やモデルのSNSでの告知も奏功し、来場者は3日間で延べ1000人ほどの盛況ぶりとなった。
「実際の来客と商品の動きを見て、一定の需要があると手応えを得ることができた」(針貝氏)
同時に針貝氏たちが心強く感じたのは、ラ・ファーファのモデルとフォロワーとの「つながり」だ。彼女たちが会場に姿を見せると、来場者から大きな歓声が上がり、写真撮影に興じる光景があちこちで見られた。
ラ・ファーファのモデルは、Instagramなどでのフォロワー数は1~2万人程度。インフルエンサーとは言えない規模だが、コメントにこまめに返信したり、フォロワーを名前で呼んだりするなど、日ごろからフォロワーとの密なコミュニケーションを心がけている。その努力がフォロワーとのエンゲージメントを高め、大きな訴求力・購買力を生んでいたのだ。
このポップアップショップでスタートダッシュに成功した「la farfa SHOP ONLINE」。売れ行きは目下好調で、サイト上には「SOLD OUT」の表示が掲げられたアイテムが続出。ぽっちゃり女子たちの期待に着実に応えている。
一方で、「ニッチなマーケットのため小ロットしか生産できないが、同時に一定のサイズ展開を揃えなければならない」(針貝氏)と、プラスサイズならではのMDの難しさもあるようだ。受注生産を採用したり、プロデュースを手がけるモデルの体形に合わせて個々にサイズ展開を変えるなど、工夫を凝らしている。
また、ワンピースを一着作るにも、当然ながらプラスサイズだと「用尺が普通サイズの2倍ほどになる」(針貝氏)。それでもラ・ファーファのブランドを後ろ盾に、一定の利益率を確保した価格設定を行っている。それでも、ワンピースやパンツ、ブラウスなどのアイテムはどれもアンダー1万円と、ワールドの企業努力によって手ごろなプライスを実現している。
「公式Instagramを見ると、海外からもコメントや問い合わせが寄せられている」(高井氏)と、アジア圏を中心とした海外からの反響も少なくない。ラ・ファーファブランドの海外展開への期待も高まるが、「まずは国内のニーズを拾ってから」(針貝氏)と、当面は国内におけるオンラインショップの認知獲得とマーケットの深耕に力を入れるかまえだ。
「おしゃれを楽しむ自由」を提供する

近年ではルッキズム批判や「ボディポジティブ」などの言葉とともに「ありのままの体形を肯定する」ムーブメントが世界的に高まっている。その観点からラ・ファーファへの注目も集まっているようだが、編集長の高井氏は「別に『ぽっちゃり』を推奨しているわけでも、称賛しているわけでもない。シンプルにどんな体型の人にもファッションを楽しんでもらいたいだけ」と、このような気運とは一線を画していることを強調する。
「発刊当初、読者の併読誌調査を実施したところ、女性ファッション誌の名前が挙がるかと思いきや、マンガ雑誌やマンガの単行本ばかり。それだけ、当時のぽっちゃり女子たちは、ファッションを楽しみたくても楽しめない環境に置かれていたのかもしれない」(高井氏)
プラスサイズの服を買えるのはユニクロ、しまむらといったファストファッションや老舗の通販サイト、百貨店の大きいサイズ売場など、おしゃれを楽しめる選択肢がない。テレビを着ければダイエットジムのCMが流れ、「痩せれば明るい人生が待っている」とのメッセージを押し付けられる――そんな境遇にあったぽっちゃり女子に、「自由におしゃれを楽しんでほしい」とのシンプルなメッセージを9年間発信し続けてきたラ・ファーファ。多様性、ボディポジティブといった言葉はその後付けにすぎないのだろう。
そして今、「la farfa SHOP ONLINE」が、ぽっちゃり女子のファッションの可能性をさらに広げている。これからも色とりどりのファッションアイテムが彼女たちに「おしゃれを楽しむ自由」を提供してくれることだろう。
提供元・DCSオンライン
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