子供の数は今年、80万人割れとなりそうです。1973年生まれは200万人を超えていました。今の49歳の方ですね。ではその49歳の方の総数が50年後に半分以下になると想像してみてください。街のスーパーマーケットも飲食店も半分以下で足りてしまいます。そもそも従業員もいないでしょう。これが実態です。
今、50歳より年齢が上の方も日本経済全体で見れば真綿で首を絞められている状態ですが自分のお財布を頼りに年金収入も確保している限り安定を維持できるので「今の日本で何が不満なの?」ということになります。が、50歳以下の人たちには経済の収縮というあまりにも厳しい社会が待っているのです。
もちろん、少子化問題は日本だけではなく、先進国や東アジアの共通事項です。その中でカナダ政府は現在の年間40万人の移民受け入れ数を2025年に50万人に引き上げると発表しました。人口の1.4%を毎年増やしていくのです。これは何を意味していると思いますか?そう、人口争奪戦なのです。
これが先進国の新しい経済政策でありエンジンなのです。もちろん、50万人には難民も含まれていますが、基本は若い将来ある高学歴者です。カナダにある大学などを卒業すれば移民になりやすいのです。かつてカナダは経済移民と称してお金でビザを買うようなスタイルも流行ったことがありました。今はとにかく優秀な若者をカナダで育て、カナダで収穫するプログラムなのです。
日本は人口が多すぎたから多少減るぐらいでもよい、という意見もあります。1億2千万が8千万人に減っても問題ないと豪語する人もいます。が、確実に言えるのは日本は中小企業が99.7%であり、ほとんどが国内経済(内需)に依存しているのです。人口減はそれら財務と経営基盤が弱い中小企業を吹き飛ばすのです。そして政府部門は税収が十分でなければ政府支出が追い付かなくなります。
大手企業はITや新技術に多額投資をすることが可能ですが、それで国民が食べていけるわけでもありません。企業の業績と国全体の富は違います。カナダは人口密度がスカスカだから長い時間をかけて人口を増やしています。日本は人口密度が高いからそんなことは逆立ちしても考えないのですが、そもそも高人口密度を前提にした経済設計だということ、今後、低人口密度に移行するとしてその移行費用をだれが負担するのか、と考えると個人的には好む好まざるにかかわらず、高人口密度経済を維持するメリットはあるのではないかと思っています。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年11月16日の記事より転載させていただきました。