FRや4WD、ミッドシップなど様々なレイアウトのスポーツカーが存在するなか、いまや希少となったRR(リアエンジンリアドライブ)というスタイルをかたくなに貫き通すポルシェ911。リアオーバーハングの限られたスペースに、3.0Lオーバーの水平対向エンジンを押し込んでいるため、他車からのエンジンスワップは、大きな改造なくして不可能です。しかし、FRレイアウトのボディならV12化することも可能かもしれません。そんな、ちょっと無謀(?)なチューニングをしたオーナーがいました。

Chapter
911が911である理由
センチュリーのキャラクターとV12エンジン
実際に積んだらどうなるか?
それでもV12を載せるとしたら?

911が911である理由

ポルシェにセンチュリーのV12エンジンを載せたらどうなるのか?
(画像=『CarMe』より 引用)

1963年のデビュー以来、ポルシェのフラッグシップとして世界中のエンスージアストが一度は憧れるモデルです。

911は、水平対向6気筒エンジンをリアオーバーハングに搭載し、低重心とRRレイアウトからくるトラクションの良さから、数々のレースで実績を残してきました。

ポルシェはそのレイアウトに限界を覚え、フラッグシップモデルの転換を図ったこともありましたが、それを市場は受け入れず、911は生産され続けています。

長い911の歴史をみると、ボディが拡大されていることがわかると思います。これは、RRという限られたスペースに、当時の最高のエンジンを搭載し、最良のハンドリングを生み出すためにポルシェのエンジニアが苦労した証。

つまり、時代によって大きくなってはいるものの、エンジンおよびエンジンルームは、いつも余裕のない状態になっているのです。

センチュリーのキャラクターとV12エンジン

ポルシェにセンチュリーのV12エンジンを載せたらどうなるのか?
(画像=『CarMe』より 引用)

トヨタのセンチュリーは、1967年の出自より言わずと知れた日本を代表するショーファードリブンです。さまざまな企業から皇室にまで採用される唯一のハイエンドモデルと言っていいかもしれません。

搭載されるV12エンジンは、4,996ccという大排気量と合わせて、国産唯一のV12型エンジンが特徴です。フェラーリやランボルギーニのような超高回転ユニットと異なり、ほぼスクエアな81.0×80.8mmというボアストローク。

アクセルに素早く反応するというよりは、日常の操作を受け付けながら圧倒的なゆとりを実現するような余裕のあるエンジンです。重量級の車体にたくさんの人を乗せても、快適なドライブを実現するためには、スポーツ性よりも扱いやすさやマイルドな出力特性が優先されたエンジンなのでしょう。

そもそもこのV12というレイアウトは、直列6気筒エンジンを2つ繋げた構造で、センチュリーの場合は片方の6気筒が不具合を起こしても、もう片方で走行し続けることができるというエンジンになっています。

大事な人を乗せながらゆとりのある走りを実現するためのV12エンジンは、英国のジャガーやロールスロイスを思い起こさせる、独自の味わいがあるかもしれませんね。