イギリス人も日本人のソロライフが羨ましい?
BBCでは、荒川氏が監修した「日本人はソロで食事をとること自体を文化にしている」という特集が放映されたそうです。そこでの視聴者の反応はとても意外なものだったそうです。
荒川:イギリスは「孤独担当大臣」というポストをつくって、「孤独は悪だ」という方向に持っていっているから、この特集は批判されるかなと思っていたんですよ。ところがいざ放映されたら、イギリス人から「私も日本に行きたい」とか、「俺もこんなふうに一人でごはんを食べたい」という反響があった。案外、イギリス人もみんなとごはんを食べているけど、本当は嫌な人もいるんじゃないかなと思いましたね。
じつはアメリカのほうが同調圧力が強い?
荒川:日米中韓の高校生の国際比較調査ですが、「友だちに合わせていないと心配になる」の比率が、東アジア3か国はみんな3割ぐらいなのに、アメリカ人だけ高くて、男子5割、女子は6割を超えています。
中野:アメリカは、確かに一人でいることを許さない習慣や文化がありますね。ホームパーティーもそうで すけど、結局はネットワーキングの社会ですよね。そもそも、人とつながれないと落伍者になる国ともいえます。
アメリカのほうが、特定のコミュニティやソサイエティに入っていけないと立場がないという状況になりやすいとのことです。だから日本以上に有名大学に必死に入学しようとするのだそうです。これは意外な指摘でした。人とつながれないと落伍者になる国なんですね。
一人でいるデメリットもある
中野:一人でいるときは、他者がいないので自分に対して自分でフィードバックをかけなければいけない。・・・つまり、一人でいると自分へのフィードバックが厳しめになる。すると、どんどん自分はダメな人間なんじゃないかと考えるスパイラルにはまっていくのです。・・・他者の客観的な視点によって、ポジティブなフィードバックを得られている、という認知があるからですね。
これはソロライフを充実させるうえで、とても気をつけたい指摘です。他者の指摘がないので、自分で自分をどんどんスポイルしてしまうそうです。若いみなさんも生涯独身になる可能性は高いのですし、今結婚している方でもかなりの確率で孤独死に見舞われるようなので、気をつけたいところです。
ほとんどの人がソロとなる日本社会。その現状と対策を知るには、とても参考になる本だと思います。
私たちは、独身国家を生き延びることができるでしょうか?
文・アゴラブックレビュー/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?