中野信子先生は、脳科学の専門家ですが、人間の行動をとてもユニークな視点で読み説かれていて話半分でおもしろいです。

その脳科学者の中野先生が、独身研究家の荒川和久さんと対談されている、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』は、日本の将来像を知る意味でもとても興味深い本です。

これからの日本人が相当の確率でなるであろう生涯独身への処方箋、メリットやデメリット、一人でいることの意識の国際比較などが述べられています。

日本は高齢者よりも独身者が多い「独身国家」になる

荒川:実は「日本は高齢国家ではなくて独身国家です」と言えるんじゃないかと思います。

2040年には15歳以上の人口が約1億人で、独身が4600万人になるそうです。有配偶が5200万人だそうです。日本は「超高齢国家」と言われていますが、高齢者人口の3900万人よりも独身者は多いことになります。だから、日本は「独身国家」になるそうです。

世界一の生涯独身大国になる日本「一人で生きる」中野信子 荒川和久
(画像=anyaberkut/iStock、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

経済活動としての結婚、搾取手段としての「皆婚主義」

中野:まだ終身雇用や年功序列制度が盤石だった頃は、結婚しない人を一段下に評価する暗黙の仕組みがありましたよね。なぜそうだったかというと、要するに、「人質」なんですよね。会社のために粉骨砕身働かせるためには、独身でなく家族がいたほうが働くだろう、ということ。

組織の中で何か圧力をかけなければ遂行できないようなことをやらせるときに、「おまえの子どもと奥さん、どうなっても知らないぞ」と脅して忠誠を持たせてきたというのです。恐ろしいですね・・・。こうやって、今まではソロ(独身)の人たちがやや劣勢にならざるを得ない社会がつくられていたわけです。最近はそうでもないでしょうか。