東福寺が美しい理由のひとつは、
東福寺の特徴は境内の一部が深い谷になっていることです。
その為、木々が深く重なるように豊かな世界を魅せてくれます。
その谷に3つの橋(通天橋、臥雲橋、えん月橋(えんげつきょう。えんは当用漢字外))が掛かり、「東福寺三名橋」と呼ばれています。
下りてきた谷から通天橋を見上げると・・・

う~上手い表現が浮かばない。こんなに美しい紅葉、生まれてこのかた見たことありません。


さらに奥にどっしりと構える「開山堂」に向かいます。

こちらが開山堂(常楽庵)です。

1280年入定(にゅうじょう)の聖一国師が祀られています。
上部の楼閣は金閣、銀閣と同じ造りで、伝衣閣(でんねかく)と呼ばれています。
衣を伝える=弟子に教えを伝えるという意味があるそうです。
「京の五閣」と呼ばれ、金閣、銀閣、西本願寺の飛雲閣、大徳寺の子院 芳春院の呑湖(どんこ)閣、そして東福寺の伝衣閣です。銀閣によく似ていますよね。

さあ、来た道を戻っていよいよメインの通天橋を渡ります。

ここだ~!
先ほどは谷から通天橋を見上げ、上ってきて今度は通天橋から谷を見下ろします。
ここが東福寺の紅葉を見るベストスポットです。山と谷の空間の広さ深さに驚きます。
お寺全体が紅葉に赤く包まれています。
言葉がありません。。。息をのむとはこういうことなのか。。。
通天橋を渡りきったところには鮮やかな黄色の楓が見られました。これも美しい。。。

美しすぎる。。。
東福寺の特徴のひとつとして「大きな伽藍」と言いましたが、こちらが「本堂(仏殿)」です。

現在の本堂は火事で焼失し、昭和9年に再建されたものです。
そして次が「三門(さんもん)」(国宝)です。
日本に現存する最大で最古の門で鎌倉時代に建てられましたが、火事で焼失し、室町時代初期に再建されたものです。

京都西陣に生まれ育ったガイドさんが仰っていましたが、京都の人々が一番価値を見出されるのは「古くからあるもの」だそうです。
東福寺の中でもこの三門が一番価値のあるものなのですね。幕末には長州藩の陣地となったそうです。
京都の人々は「先の戦」というと「太平洋戦争」ではなく「応仁の乱」や「蛤御門の変」と答えるという興味深い話がありますが、根底の価値観は同じような考え方にあるのかもしれません。
イタリア人の考え方にも似ているように思いました。ちなみに京都はイタリアのフィレンツェと姉妹都市なんです。京都を流れる鴨川は、フィレンツェのアルノ川に似ています。
ガイドさんがここは絶対見ておいてもらいたいと言った場所
ここでガイドさんが「ぜひ見てもらいたいところがあります」と言って連れていっていただいた場所があります。
それがここ「えんげつ橋」です。


東福寺には3つの橋があると言いましたが「えんげつ橋」は参拝入口である月下門からは奥の方になるので、これほど混んでいる紅葉の時期にも人影はまばらで静かです。しかしこの「えんげつ橋」が一番古く、重要文化財に指定されている価値ある橋なのだそうです。穴場情報ですね。
次にガイドさんが勧めてくれたのが、三門近くにある「六波羅門」です。

室町幕府初代将軍 足利尊氏が放った矢の跡が今も残る、寺内で最も古い建築物のひとつだそうです。す、すごい。。。

人が建物の中を覗き込んでいます。

これはなんでしょうか?

これは「東司(とうす)」と呼ばれる、いわゆるトイレです。日本に現存する最古のトイレだそうです。
禅宗では、トイレの所作も修行と捉え、こと細かな作法があったようです。

「京都の紅葉はきれい」ということをもちろん知ってはいましたが、これほどまでに美しいとは思っていませんでした。
赤く色づく木々という自然現象だけでなく、京都という町が持つ雰囲気とみごとな調和を見せ、雅(みやび)という言葉がぴったりだと感じました。ただ紅葉の時期は人が多すぎて。。。これは止むをえないです。静かに落ち着いて愛でるということは望めません。
先出のガイドさんも言っていましたが、京都に住む人は紅葉の時期には訪れないそうです。人が多すぎるから。でも最後にガイドさんが耳より情報を教えてくれました。東福寺の紅葉はもちろん美しいけれども、それとは別で東福寺を訪れるのにお勧めの時期があるんだそうです。
それは「青もみじの時」だそうです。新緑の5月です。私も東福寺が若々しい緑に染まるその時に、再び東福寺を訪れたい、そう思いました。
文・写真・シンジーノ/提供元・たびこふれ
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