現在の収入に不安を覚え、収入の安定した公務員を目指している人もいるでしょう。実際のところ、公務員の年収はどれくらいなのでしょうか。公務員の年収事情や、学歴がなくてもなれるのかを解説するので、参考にしましょう。
気になる公務員の平均年収

安定した収入が得られることは公務員の大きな魅力です。しかし実際にはどれくらいの年収がもらえるのでしょうか。公務員の平均年収を解説します。
国家公務員の特徴と年収

公務員には、国家公務員と地方公務員があります。国家公務員の給与は『俸給』と呼ばれ、『俸給表』に基づき詳細に決められているのが特徴です。
公務員の給与体系は役職に応じた『級』と、『号俸』によって決まります。昇進すると級が上がり、年収も上がるという仕組みです。年に2回のボーナスもあります。
給与モデルとして発表されているものには、25歳係員で月給19万円、年収は約317万円というものがあります。35歳係長では、月給が約27万円、年収は約450万円です。
参考:国家公務員の給与(令和3年版)|内閣官房内閣人事局
地方公務員の特徴と年収
地方公務員とは、都道府県や市区町村で働く公務員のことを指します。地方公務員の給料は、国家公務員のように一律ではなく各自治体によって決められています。
総務省による地方公務員給与実態調査によると、地方公務員の一般行政職の平均月給は約36万円でした。ボーナスを加味して年収に換算すると576万円です。
地方公務員の給料は働く自治体だけでなく、職種によっても変わります。地方公務員の職種には一般行政職の他にも、技術職や小中高等学校教育職、警察職があります。
参考:平成31年地方公務員給与実態調査結果等の概要|総務省
【年数・年齢別】公務員の平均年収

公務員の年収は年齢とともに上がっていきます。国家公務員の場合、大卒の初任給は約19万円とあまり高くありません。30代になると年収は大体500〜600万円程度となり、40代では600〜700万円、50代では650〜900万円と推移します。
一方地方公務員の場合、20代の平均年収は300〜370万円程度です。30代は420〜480万円、40代は540〜620万円、50代は650〜700万円程度になります。
国家公務員の方が給料が高い傾向にありますが、それは担当する業務のスケールが国家公務員の方が大きく、その分報酬として還元されているためと考えられます。
参考:令和2年 国家公務員 給与等実態調査 報告書 P.18|人事院
参考:令和2年4月1日地方公務員給与実態調査結果|総務省
【職業別】公務員の平均年収

公務員の年収は職種によっても変わります。たとえば一般行政職の場合、国家公務員なら平均で約40万円の月給がもらえます。ボーナスを加味して年収に換算すると約640万円です。地方公務員なら月給約31万円、年収なら約500万円です。
また地方公務員には、学校の用務員やゴミ収集員、土木作業員などの『技能労務職』があります。技能労務職の平均月収は約31万円と、一般行政職とほぼ変わらない給与水準です。
技能労務職は自治体にもよりますが、あまり忙しくないところもあるようです。
参考:令和3年国家公務員給与等実態調査の結果概要 P.3|人事院
参考:令和2年4月1日地方公務員給与実態調査結果|総務省
民間企業との年収の差
民間企業との年収の差が、公務員を目指すかどうかを決める要素の一つとしている人も多いでしょう。公務員と民間企業の年収を比較します。
公務員の方が平均年収は高い

国税庁が実施する民間給与実態統計調査によると、民間企業に勤める人の平均年収は433万円です。国家公務員の平均年収は約640万円なので、公務員の方が平均年収は高いと言えます。公務員も多くの民間企業と同じく、新卒の給料は低めに設定されていますが、年功序列で上がっていきます。
公務員として長く勤務すれば、日本人の平均年収以上に稼ぐことも可能です。しかし公務員の給料は国の平均から著しく外れないように調整されています。これは公務員の給料が高すぎると国民の不満の原因となり、逆に低すぎると人材が集まらないためです。
参考:令和2年分民間給与実態統計調査結果について|国税庁
公務員は手当や福利厚生も充実

民間企業の場合、各種手当や福利厚生がどれくらい充実しているかは会社次第です。しかし公務員なら、基本給に加えて各種手当てがもらえます。下記に一例を記載します。
- 扶養手当
- 地域手当
- 通勤手当
- 時間外手当
- 特殊勤務手当
公務員は犯罪行為を起こすでもしない限り、解雇されることがありません。また業績に左右されずに安定して給料が支払われることから、社会的な信用も高いこともメリットです。そのため住宅ローンを良い条件で利用するといったことも期待できます。