読んでいるうちに行ったつもりになれるかもしれない、プチ旅行の紀行文コラム「行ったつもりシリーズ」。

今回は埼玉県の飯能市・日高市をサイクリング。前半は、初秋に見ごろを迎える曼珠沙華が500万本も咲く「巾着田」を目指す。

目次
 飯能市のホットスポットといえば
 古代朝鮮の王族を祀る高麗神社

 飯能市のホットスポットといえば

【行ったつもりシリーズ】埼玉県の飯能・日高エリアをサイクリング<1>500万本の曼珠沙華が咲く巾着田へ
(画像=飯能の人気スポット「ムーミンバレーパーク」をチラ見。すぐ隣には、日帰り温泉施設もある(撮影:光石 達哉)、『mimiyori』より 引用)

暑かった夏も過ぎ、秋らしい空気になってきた。日本列島を台風が通過し、一気に涼しくなったこの日、秋の風情を求めて埼玉県南西部の飯能市・日高市へ。自宅から約40km走って、まずはここ数年、飯能市でもっともホットなスポット「ムーミンバレーパーク」へ。

フィンランドの絵本で、日本ではアニメでもお馴染みのムーミン。2019年3月にオープンした「ムーミンバレーパーク」は物語の舞台であるムーミン谷をイメージしたテーマパークで、メディアなどでもたびたび取り上げられている。

【行ったつもりシリーズ】埼玉県の飯能・日高エリアをサイクリング<1>500万本の曼珠沙華が咲く巾着田へ
(画像=駐車場より先は、自転車やキックボードなどは乗り入れ禁止。しかし、「メッツァビレッジ」のエリアは入場無料で入れたようだ(撮影:光石 達哉),『mimiyori』より 引用)

その「ムーミンバレーパーク」と、北欧のライフスタイルを体験できる「メッツァビレッジ」の2つのエリアを合わせて「メッツァ(フィンランド語で森)」という施設になっていて、宮沢湖という小さなダム湖の周りに造られている。「ムーミンバレーパーク」はワンデーパス3000円(大人前売り)と1日かけて遊ぶようなところなので、入口をチラ見しただけで立ち去ったが。後から調べたところ「メッツァビレッジ」のみなら無料(体験施設などは有料)で入れたようだ。

 古代朝鮮の王族を祀る高麗神社

【行ったつもりシリーズ】埼玉県の飯能・日高エリアをサイクリング<1>500万本の曼珠沙華が咲く巾着田へ
(画像=日高市の「高麗神社」へ。この地に移住した高句麗の王族、高麗王若光を祀っている(撮影:光石 達哉),『mimiyori』より 引用)

次は北へ5kmほど走り、日高市の高麗神社(こまじんじゃ)へ。その名の通り、朝鮮半島にゆかりのある神社で、案内板によると、古代、朝鮮半島北部にあった国家、高句麗の王族・高麗王若光(こまのこきしじゃっこう)を祀っている。

【行ったつもりシリーズ】埼玉県の飯能・日高エリアをサイクリング<1>500万本の曼珠沙華が咲く巾着田へ
(画像=高麗神社のチャンスン(将軍標)。「天下大将軍」「地下女将軍」の標が対になったもので、韓国では魔除けや道しるべとして村の入り口などに置かれているという。日高市には他にもチャンスンがいくつかあるそうだ(撮影:光石 達哉),『mimiyori』より 引用)

高句麗は668年に唐・新羅の連合軍に滅ぼされたが、高句麗の貴族や僧侶などが日本に逃れ、主に東国に住んだという。そのうち1799人が716年に武蔵国のこの地に移され、高麗郡を設置し、高麗王若光を郡司に任命。若光は武蔵野の開発に力を尽くし、この地で没したという。

【行ったつもりシリーズ】埼玉県の飯能・日高エリアをサイクリング<1>500万本の曼珠沙華が咲く巾着田へ
(画像=高麗王若光の子孫で、代々神職を務めていた高麗家が江戸時代前半から住んでいた「高麗家住宅」。春には左のしだれ桜が満開になるそうだ(撮影:光石 達哉),『mimiyori』より 引用)

郡民はその霊を祀って高麗明神とあがめ、現在に至るまで若光の子孫の高麗家が神社を守っているという。社殿の裏には、江戸時代前半ごろに建てられた高麗家の住宅が保存されており、国の指定重要文化財となっている。

【行ったつもりシリーズ】埼玉県の飯能・日高エリアをサイクリング<1>500万本の曼珠沙華が咲く巾着田へ
(画像=奈良県の高松塚古墳と北朝鮮の世界遺産・高句麗古墳群の壁画に描かれている女性の装束を再現。両者はよく似ていて、当時の日本と高句麗の交流が深かったことが想像できる(撮影:光石 達哉),『mimiyori』より 引用)

神社はいっけん日本の他の神社と変わらない雰囲気だが、どこか朝鮮半島の文化を感じさせる。周辺の案内板もハングル文字が併記されていたりするので、韓国からの観光客も多いのかもしれない。