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秋川のココがすごい その5 おみやげ編
西多摩・秋川を取材した感想
秋川のココがすごい その5 おみやげ編
石川酒造

福生の銘酒「多満自慢」を醸す酒蔵。創業は1863年で当初は「八重桜」「八重梅」の銘柄で酒を造っていましたが、精白技術が向上し、より良い酒の新銘柄として「多満自慢」が登場したのは1933年(昭和8年)です。
「多摩自慢」ではなく「多満自慢」にしたのは、多くの人たちの心を満たしたいという願いから名づけられたそうです。日本酒の他に地ビール「多摩の恵」も醸造しています。3年前に若き杜氏(とうじ)に替わり、さらにアグレッシブに挑戦し続けている蔵です。
石川酒造では酒蔵見学、試飲、販売、レストランなど門戸を開いていますので、秋川を訪れた時にはぜひ立ち寄りたいスポットです。

燗酒派の私はこちらをおみやげに買いました。

まろやかでコクがありながらキレがよい、ふくよかな味でした。
近藤醸造

東京都内唯一の醤油工場で、創業して100年を超える醸造元。厳選した大豆と小麦100%を使用し、保存料や着色料を使わず、伝統に培われた素朴な風味を持つ醤油を造りつづけています。創業者の近藤五郎兵衛氏の"五"を取ってキッコーゴの商標としたそうです。地元で人気のやや濃いめの醤油。醸造所には直売店もあり、醤油、めんつゆやせんべい、チョコレートなどの商品を購入することができます。

丸大豆しょう油とめんつゆ(各360ml)のセット671円。

手作りこんにゃくのお店 井上食品
昔ながらの「バッタ練り製法(バッタンバッタンという音がする昔ながらの練り機を使うことから)」で、じっくり時間をかけながら丹念に手作りしている素朴なこんにゃくが人気です。
今、世の中に流通しているこんにゃくの多くが芋の精製粉から造られているそうです。ここ井上食品では自社の畑でこんにゃく芋を栽培し、こんにゃく芋(国産)から作ることにこだわっているそうです(芋の精製粉を使用している製品もあります)。静かな山の中にあり、寺カフェの玉傳寺の向かいにあります。工場に直売所もあり、時間によっては製造過程を見学することもできます。さっそくお家で食べてみたところ、空気の入り具合がよいのか舌ざわりが絶妙で、スーパーで売っている工業製品みたいなこんにゃくではなく、素朴で歯ごたえのある"こんにゃくらしいこんにゃく"でした。特に煮物に合うそうですよ。「檜原村のこんにゃく」っていうのがまたいいですよね。

西多摩・秋川を取材した感想
正直期待していなかった秋川というエリア。取材した素材のすべてが私の想像を超え、良い意味で期待を裏切ってくれた素晴らしいモノ/コトがそこにありました。秋川と言えばココ!というインパクトの強い観光ポイントがあるわけではありませんが、そのひとつひとつが"ホンモノの価値"を持っていると感じました。最近あちこちで見られるような「●●映えする~」と瞬間的に流行し、その翌年には忘れられてしまうような薄っぺらい観光ではなく、何年もずっと旅人の心を捉えて離さないしみじみとした魅力。そんな要素が秋川には詰まっていました。
この記事で紹介した食事、旅館は安くはありません。ただ、大量生産、大量消費という世界とは無縁で、逆にいえば当たり前のものを当たり前にひとつづつしっかり作り、適正価格で販売しているという姿勢は、今ほとんどの業界が行き過ぎた価格競争に疲弊している、日本という国へのひとつの問題提起かもしれません。今回体験したものはすべて「この内容なら当然(価格に見合ったもの)だな」と感じるものでした。
なぜ秋川はこれだけのものを持っていてこれまで有名でなかったのか?
秋川は昔から豊かな土地で、自分たちだけで生活(需要供給)が完結できていたようです。観光に頼らなくても事足りていたから積極的に観光誘致もしてこなかった。あまり出しゃばりたくないという秋川の人たちの気質もあり、それで良しとしていたのかもしれません。今は秋川も日本の他の町と相違わず少子高齢化、林業の衰退で過疎が深刻な問題になっており、ようやく外の人たちにも秋川の魅力を知ってもらいたいという機運になり始めているようです。
この秋川という自然豊かな場所は外国人にも人気が出始めていて、訪れた外国の方からは絶賛されているそうです。外国人観光客の間で話題になる前に、私たち日本人がこの場所の素晴らしさを知っておきたい、そう思いました。そういう意味で秋川は日本が本来持つ魅力を古代(縄文時代から人が住んでいたらしい)から現在まで脈々と受け継いできた土地だと言えると思います。
訪れるシーズンとしては華やぐ桜、紅葉シーズンがベストでしょうが、(株)ジャパニズム代表の野口さん曰く「私のイチオシは"新緑の季節"ですね、秋川の緑は柔らかいんですよ」だそうです。
秋川の魅力をシンプルにリストアップしてみると次の8つでしょうか。
「川」「山」「谷」「橋」「花」「寺」「滝」「食」
この8つに「意外に近い」と「ベストシーズンでもそれほど混んでいない」(一部の週末を除いて)を加えて「西多摩・秋川の魅力10選」決まりですね!
最後に、秋川エリアで"一番SNS映えする場所"として人気のスポットをご紹介しましょう。玉傳寺や手作りこんにゃくの井上食品さんのある人里(へんぼり)にあるバス停です。しだれ桜のシーズンには多くのカメラを持った人がやってくるそうですよ。
文・写真・シンジーノ/提供元・たびこふれ
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