「インヴァストゴールドカード」は、貯まったポイントが自動的に積立投資に回されるという、他に類を見ない特徴的なクレジットカードだ。還元率、投資の仕組み、運用シミュレーション、付帯サービスなど、メリット・デメリットを含めこのカードの特徴を徹底解説していこう。

目次
1,インヴァストゴールドカードの基本スペックと審査基準
2,インヴァストゴールドカードのポイントサービス、還元率
3,インヴァストゴールドカードのポイント投資の仕組みとメリット
4,インヴァストゴールドカードのその他の2つの特徴
5,インヴァストゴールドカードの4つのデメリット
6,インヴァストゴールドカードはどんな人におすすめなのか?

1,「インヴァストゴールドカード」の基本スペックと審査基準――高級感のあるフェイス

「インヴァストゴールドカード」は、クレジット利用で貯まるポイントで投資できるクレジットカードだ。投資対象は海外ETF。自動売買積立投資の専用サービス「マネーハッチ」で運用されるため、投資初心者でも気軽に資産運用ができるのが特徴だ。まずは、基本スペックと審査基準を紹介しよう。

国際ブランド・年会費・ポイントなどの基本スペック

国際ブランド Mastercard
年会費 2年目以降5,500円(税込)
※初年度無料
家族会員無料
ポイントサービス インヴァストカードポイント
通常ポイント還元率 1.5%
ポイント交換対象 インヴァスト証券取引口座への
キャッシュバック
空港ラウンジサービス 国内主要32空港
付帯保険 海外旅行傷害保険(自動付帯)
国内旅行傷害保険(利用付帯)
海外航空便遅延費用補償(自動付帯)
国内航空便遅延費用補償(利用付帯)
追加カード ETCカード
家族カード
電子マネー 【Apple Pay/Google Pay経由】
QUICPay

カードフェイスはブラックで側面まで黒いため、「ブラックカード」にも似た高級感のあるルックスだ。また、カードフェイスに配された金色の地球儀も高級感の演出に一役買っている。

ETCカードは、本会員・家族会員ともに年会費無料で発行される。ETCカードの申し込みと利用で、ETCカード利用代金から500円分が値引きされる特典が適用される。

審査基準・必要な年収は350万円以上と比較的厳しい印象

申し込み資格に「年齢20歳以上で安定した収入のある電話連絡可能な方(学生を除く)」とあるため、主婦や学生は申し込み自体ができない。最近はゴールドカードでも審査基準が低いものがあるが、ジャックスは信販系クレジットカードの中でも審査が比較的厳しいと言われている。口コミ情報によると年収は350万円以上が審査通過ラインと考えられ、勤続年数は3年以上が望ましいようだ。

2,インヴァストゴールドカードのポイント還元率や使い道は?――獲得ポイントは積立投資へ

次に「インヴァストゴールドカード」のポイントサービスについて説明しよう。

ポイント還元率1.5%でインヴァストポイントが貯まる

貯まるポイントは「インヴァストカードポイント」で、月間のクレジット支払い200円(税込)ごとに3ポイント(3円相当)が貯まる。ポイント還元率は1.5%。ただし2020年11月請求分より、ポイント還元率が0.75%(税込400円につき3ポイント)に変更される。

なお、電子マネーのnanacoや楽天Edyへのチャージ分、カード年会費、キャッシングの利用代金についてはポイント付与対象外だ。

ポイントの使い道……インヴァスト証券取引口座へ自動的にキャッシュバック

貯まったポイントは毎月1ポイント→1円のレートで現金化され、インヴァスト証券の積立投資取引口座へ自動的にキャッシュバックされる。そのため、ポイントが有効期限切れになることはない。なお、積立投資に回る前の残高を取引口座から出金することはできない。

ポイント還元率・付与率をアップする2つの方法……JACCSモール、ポイントキャンペーン

このカードでより多くのポイントを貯めるために活用したいのが、ポイントサイト「JACCSモール」と入会時のポイントキャンペーンだ。詳しく説明しよう。

・方法1,「JACCSモール」経由のネットショッピングで最高12%のキャッシュバック

ポイントサイト「JACCSモール」経由のネットショッピングでは、通常のクレジット利用ポイントに加えて「Jデポ」0.5~12%分が付与される。「Jデポ」とはキャッシュバックの仕組みで、カード利用代金から「Jデポ」分が差し引かれる形でキャッシュバックが行われる。

「JACCSモール」には、楽天市場、Yahoo!ショッピング、ビックカメラ.com、じゃらん、一休.comなど主要なネットショップ・サービスが揃う。該当するサービスを利用する際は、経由を忘れないようにしたい。

・方法2,入会キャンペーンで最大5,000円のポイント付与

入会後3ヵ月以内のクレジット利用金額に応じて、最大で5,000円分の「インヴァストカードポイント」が付与される。

クレジット利用金額 インヴァストカード
ポイント付与数
合計5万円以上 2,000円分
合計7万円以上 3,000円分
合計10万円以上 5,000円分

手厚いキャンペーンなので、ぜひ利用したい。3ヵ月で10万円は、1ヵ月に換算すると3万4,000円程度。さほど高いハードルではないはずだ。

3,インヴァストゴールドカードのポイント投資の仕組み メリットや運用シミュレーションも紹介

このカードの最大の特徴は、前述のとおりポイントが自動的に積立投資に回されることだ。どのような仕組みになっているのだろうか?

初期の対象投資信託は3つのETF

投資先は国内外ETFで、手数料無料で0.1口から購入でき、元本為替リスクも排除されている。
ハイリターンを目指すものからローリスクのものまで、3つ用意されている。

・1,世界株ETF自動売買

1つ目は、初期設定になっているリスクの低い「世界株ETF自動売買」。とりあえず投資を経験したいという人に向いている。世界の80%の株式に分散投資されているETFが対象なので、リスクもリターンも小さい。レバレッジは1.5倍が用意されており、積立金額が1万円以上になるとこれを選択することができる。

・2,S&P500ETF自動売買

2つ目は「S&P500ETF自動売買」。過去20年で価格が4倍になっているETFで、大きなリターンを望む人は注目したい。こちらも積立金額が1万円以上になると、1.2倍のレバレッジを選ぶことができる。

・3,日経223ETF自動売買

3つ目は、リスクを抑えた資産運用をしたい人に向いている「日経225ETF自動売買」。値動きが比較的穏やかなのが特徴。こちらも積立金額が1万円を超えると、1.2倍のレバレッジをかけることができる。

投資である以上、元本割れの可能性は否定できない。心配な人は、ローリスクの投資スタイルを選ぶことになる。逆に、投資の勉強も兼ねて積極的にリターンを求めるなら、レバレッジの大きい投資スタイルを選んで高い資金効率を狙うことになる。

なお「マネーハッチ」は、積立金額が増えるにつれて選択できる銘柄も増える。例えば積立金額が10万円以上になると「高利回り社債ETF自動売買」を選べるようになる。金利コストがかかるものの、年間5%という分配金が魅力だ。

ポイントを積立投資する場合としない場合をシミュレーション!月10万円の利用では?

このカードによる投資で、資産はどのくらい増えるのだろうか?ここで運用シミュレーションをしてみよう。

インヴァスト証券のクレジットカード公式サイトには、「マネーハッチ」による積立投資をした場合としない場合を比較した、運用シミュレーションのグラフが掲載されている(取引コストは織り込み済み)。このシミュレーションは、「S&P500ETF自動売買×1.2倍」という投資スタイルでの運用を想定したものだ。

毎月10万円の
クレジットカード利用
10年後の金額
(積立金額・ポイント還元額)
「インヴァストカード」で得たポイントを
「マネーハッチ」で運用
24万3,212円
還元率1%のクレジットカード 12万円
還元率0.5%のクレジットカード 6万円

このシミュレーションは、ポイント還元率1%の「インヴァストカード」の場合だ。ポイント還元率が1.5%の「インヴァストゴールドカード」の場合は、10年後の金額はさらに増えていると考えていいだろう。

インヴァストゴールドカードのポイントで積立投資をする4つのメリット

これには他のクレジットカードのポイントサービスや現金で行う積立投資に比べていくつかの利点がある。

メリット1,クレジット利用ポイントを有効活用できる

一説に、クレジットカードのポイントはその3~5割が使われないまま失効すると言われている。ポイントの有効期限が短いポイントでは、交換に必要な最低数まで貯まらないまま失効するケースも多いようだ。その点、「インヴァストゴールドカード」のポイントは毎月自動的に現金化され、投資に回されるためポイントを確実に有効活用できる。

また、一般的なクレジットカードのポイントでは、ショッピングに使えるポイントや電子マネー、ギフト券などに交換することが多く、消費で得たポイントは再度消費に回される。一方、この「インヴァストゴールドカード」のポイントは投資を介して資産として貯められていく。ポイントの使い道に困っているという人はぴったりだ。

メリット2,自動売買で投資初心者でも手間が少なく運用できる

クレジット利用ポイントは毎月現金化され、ETFを自動売買積立投資する専用サービス「マネーハッチ」で運用される。

「マネーハッチ」では国内外のETFへ投資され、売り買いは独自開発の自動売買システムで自動的に行われる。事前にインヴァスト証券の「トライオートETF」を開設する必要はあるが、現金による積立投資のように、毎月証券口座の残高を確認したり、振込を行ったりといった手間もないのは、初心者にうれしいだろう。

元本為替リスクの排除、売買手数料無料で0.1口からの少額買い付けが可能なことも特徴だ。

メリット3,「おまけ」で資産運用できるため気軽

投資初心者は「現金を運用して、目減りしてしまったら……」と不安になってしまう人もいるだろう。その点「インヴァストゴールドカード」では現金は使用せず、クレジットカードを利用したおまけであるポイントを使うため、このような抵抗感を和らげてくれるはずだ。

メリット4,本格的な投資に取引を拡大することも可能

「マネーハッチ」では「インヴァストゴールドカード」のポイントによる積立投資だけでなく、銀行口座からの引落により、定期的に決まった金額を積み立てることも可能だ。そこで、まずはポイントによる積立投資で慣れていき、その後、本格的な投資に取り組むというステップを踏むことも可能だ。

4,インヴァストゴールドカードのその他の2つの特徴――空港ラウンジと旅行保険

インヴァストゴールドカードの最大のメリットはポイントを原資として積立投資ができることだが、その他に一般的なゴールドカードらしい特典も利用できる。

特徴1,空港ラウンジを無料で利用できる

ゴールドカードのサービスとして、国内主要32空港のラウンジを無料で利用できる。対象空港は以下のとおり。

新千歳空港 函館空港 旭川空港 青森空港
秋田空港 仙台国際空港 新潟空港 富山空港
小松空港 成田空港 羽田空港 富士山静岡空港
中部国際空港 関西国際空港 神戸空港 伊丹空港
岡山空港 米子空港 広島空港 出雲空港
山口宇部空港 高松空港 徳島空港 松山空港
北九州空港 福岡空港 大分空港 長崎空港
熊本空港 宮崎空港 鹿児島空港 那覇空港

空港ラウンジに加えて、トラベル関連のサービスとして大手旅行会社の国内・海外パッケージツアーを3~5%オフで購入できる「ジャックス・トラベルデスク」や、旅行商品やホテル、レンタカー、レジャー施設などで優待を受けられる「J'sコンシェル」なども提供されている。

メリット4,最高3,000万円の海外・国内旅行傷害保険、最高4万円の航空便遅延費用補償が付帯

このカードには海外・国内旅行傷害保険のほか、海外・国内航空便遅延費用補償も付帯する。その詳細を紹介しよう。

・旅行傷害保険は海外が自動付帯で国内が利用付帯

海外旅行傷害保険は旅行代金のカード払いの有無にかかわらず付帯(自動付帯)し、国内旅行傷害保険は旅行代金をカード払いした場合に付帯する(利用付帯)。この保険は本会員と家族会員だけでなく、家族カードを持たない家族(配偶者および満19歳未満の家族)も対象となる。補償内容は以下のとおりだ。

海外旅行傷害保険(自動付帯)

補償項目 保険金額
本会員 家族会員 家族特約対象者
傷害死亡 最高3,000万円 最高1,000万円
後遺障害 120万~3,000万円 40万~1,000万円
傷害治療費用 最高200万円 最高100万円
疾病治療費用 最高200万円 最高100万円
賠償責任 最高3,000万円 最高1,000万円
携行品損害
(免責3,000円)
※1旅行かつ1年間の限度額
最高20万円 最高10万円
救援者費用
※1年間の限度額
最高200万円 最高100万円

国内旅行傷害保険(利用付帯)

補償項目 保険金額
本会員 家族会員 家族特約対象者
傷害死亡 3,000万円 1,000万円
後遺障害 3,000万円 1,000万円
入院1日につき 5,000円
手術1日につき 5,000円×手術の種類に応じた倍率
通院1日につき 3,000円

・航空便遅延費用補償

搭乗する航空便の遅れや欠航、あるいは手荷物の遅延・紛失などにより生じたホテル代や食事代、衣類などの出費が補償される。

航空便遅延費用補償(海外・自動付帯)

補償項目 保険金額
本会員 家族会員
乗継遅延費用
(客室料・食事代)
最高2万円
出航遅延・欠航・
搭乗不能費用
(食事代)
受託手荷物遅延費用
(衣類・生活必需品購入費用)
受託手荷物紛失費用
(衣類・生活必需品購入費用)
最高4万円

航空便遅延費用補償(国内・利用付帯)

補償項目 保険金額
本会員 家族会員
乗継遅延費用
※1回の限度額
最高2万円
受託手荷物紛失費用
※1回の限度額
出航遅延・欠航・
搭乗不能費用
※1回の限度額
最高1万円
受託手荷物遅延費用
※1回の限度額

5,インヴァストゴールドカードの4つのデメリット

他にない、尖った「インヴァストゴールドカード」だけにデメリットもその独特の特徴に付随したものとなる。

デメリット1,元本が保証されていない

「マネーハッチ」の積立投資では元本が保証されていない。そのため、当然だが元本割れの可能性もゼロではない。これは、このカードのデメリットというよりは、「投資」が共通して抱えるのもでもある。このカードではポイントは自動的に積立投資に回されてしまうので、せっかく付与されたポイントが目減りしてしまうことを絶対に避けたいという人には向かない。

デメリット2,ポイントの使い道が積立投資の他にない

デメリット1と関連するが、インヴァストポイントは他のクレジットカードのポイントのように、支払い充当やマイル交換いうことができない。

「今月だけ支払い充当で使いたい……」といった柔軟性に欠ける。

デメリット3,ポイント還元率の改悪

先に触れた通り、2020年11月請求分よりポイント還元率が1.5%から0.75%に変更される。これは改悪といっていいだろう。なお、「インヴァストカード」のほうでは、同じタイミングでポイント還元率が1%から0.5%に変更される。

デメリット4,ポイントアップの仕組みが少ない

ポイントアップの仕組みが2つしかないのも物足りなく感じるところだ。他のクレジットカードによくある年間の利用金額に応じたボーナスポイントや、優待店特典なども用意されていない。還元率が改悪されてしまうと、もちろん投資の原資となるポイントも貯まりづらくなる。

6,「インヴァストゴールドカード」はどんな人におすすめなのか?

デメリットで触れたポイント還元率の改悪は気になるところ。

しかし投資用の資金を捻出しなくても資産運用を始められるという点で、ローリスクで投資に触れてみたい人に十分おすすめできるカードであるのは変わりない。初めたばかりのときはレバレッジ倍率の低い投資スタイルを選べる一方で、慣れてきたら銀行口座からの引き落としで現金による積立投資も可能というのもうれしいサービスだ。

投資に興味があってもなかなか踏み切れない人は、投資を始めるきっかけとしてこのカードを作ってみてもいいだろう。

 

モリソウイチロウ
執筆・モリソウイチロウ
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカードに詳しく、専門サイトでの執筆も行っている。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカードに詳しく、専門サイトでの執筆も行っている。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

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