福島市のおすすめ温泉
福島市には、飯坂温泉、高湯温泉、土湯温泉があります。今回は、土湯温泉に行ってきました。
土湯温泉(つちゆおんせん)
1400年以上の歴史ある温泉で、三大こけし発祥の地。磐梯朝日国立公園内にあります。

川沿いに旅館が立ち並ぶ温泉情緒たっぷりの土湯温泉街。豊富な湯量と複数の泉質を楽しめます。

温泉街の奥にある山水荘。2段の滝を眺めながら浸かれる展望露天風呂が自慢の高級宿です。


三大こけし発祥の地らしく、かわいらしいこけしのお土産がたくさん売っていました。

おららの酒BAR(さかば)では、自家製のどぶろくやシードルが売っていました。

シードルというと甘いジュースのようなイメージを持っていましたが、ちゃんとしたお酒です。おららの酒BARのシードルは瓶内発酵の本格派でアルコール7%の甘くないシードルでした。ちなみに「おらら」とは土湯地方の方言で「俺たちの」という意味だそうです。

カフェ「おららのコミセ」ではエビ釣りができ、釣ったエビは焼いて食べることもできます。エビは意外にすばしっこくて釣るにはコツがいるのだとか。友達同士やカップルでやると、お祭り気分で盛り上がるそうですよ。
福島市の挑戦者たち
ぼんさいや「あべ」
福島市で90年以上に亘り、五葉松の盆栽作りを営む老舗の盆栽園です。
五葉松は高山に生える松の種類で、松の葉が5本一組なので五葉松と呼ばれています。銀色がかった葉が美しく成長が遅い上、木質が柔軟で、枝を曲げやすい、ねばりがあり折れにくいので盆栽に向いている品種だそうです。
吾妻は三大五葉松のひとつと言われており(その他は那須と四国)、中でも五葉松が見渡す限り生えているのは吾妻山だけだそうです。

ぼんさいや「あべ」の盆栽棚に五葉松盆栽が並びます。
3代続いて盆栽業を営む阿部さんにはブレない信念があります。
盆栽は山に自生している松を掘って盆栽に育てるのが当たり前に行われていました。ぼんさいや「あべ」の初代である倉吉さんは「国立公園から勝手に木を採ってきて盆栽にすることはよくない。私は一粒の種から盆栽を育てる」と決め、そのやり方を通してきました。
今でこそ、阿部さんに賛同して種から盆栽を育てる盆栽業者も増えてきましたが、今だに生えている木を掘ってくる業者も多いそうです。種から育てるのは、口で言うのは簡単ですが、それは大変な作業です。時間と手間がかかります。1つの種が苗になり盆栽になるまでには少なくとも10年以上かかるそうです。それでも阿部さんは、堂々と恥ずかしくない盆栽作りをしたいとそのやり方を貫いてこられました。

阿部家には「空間有美」という教えがあるそうです。これは、初代が提唱した言葉で、「空間には美しさがある」という意味です。
自然界に自生する木の幹や枝葉の空間が持つ美しさを、盆栽に表現することを大切にしてきました。

ぼんさいや「あべ」3代目の若き当主大樹さん。
大樹さんは、五葉松や盆栽の普及に力を入れています。積極的に教室やオンラインセミナーを開いたり、SNSで情報発信をしておられます。
「『盆栽に興味はあるんだけど・・・』という人に声をかけるとしたら?」と質問してみました。
「『盆栽はやってみたいんだけど枯らしたくない(失敗したくない)からなかなか始められない』という人がとても多いんです。そんな人には最初はまず盆栽に触れることから始めることをおすすめしたい。教室に参加してみるでもなんでもいい、まずは盆栽に触れる、水をやる、そうすると盆栽にだんだん愛着が湧いてきます。そうなってから始めててもいいんです。興味を持ったならぜひ動き出してほしいですね」
盆栽は人工的に観葉植物を作っていると思っていた私は、盆栽の奥深さ、空間有美の世界など、禅や茶の湯、侘び寂び、花鳥風月に通じる深淵な世界の一端に触れたような気がしました。
染織工房 おりをり
工房おりをりは福島で、自然素材の糸紡ぎ・草木染め・織物・羊毛クラフトなどの講習や作品販売を行っています。
代表の鈴木美佐子さんは、東日本大震災を経験し、これまでの価値観が根本から変わってしまいました。
福島の誇りとなる何かを探し求めて、たどり着いたのは、昔から脈々と受け継がれてきた「絹」でした。
福島は、江戸時代から全国に名の知れた養蚕の名産地だったのです。


素材からすべて手作りにこだわっています。

鈴木さんが開催される「手しごと展」への思いが書かれていました。ここに鈴木さんの思いがしっかり込められていましたので、そのままご紹介させてください。
手しごと展
~ひとつひとつに手間暇かけて~
昔の人は自然に感謝し、自然の中から素材を見出し、手間と時間をかけて手織物や衣類を作り出してきました。ものに溢れた現代の環境の中、私たちはどのくらいその過程を、本物の良さを知っているのでしょうか。
本展は、天然素材に触れ、手織りの成り立ちや出来上がる過程を体験することで、本物を知る豊かさ、天然素材の素晴らしさ、自分で作り上げることの学び、そして心を静めてこつこつとものづくりに励む美しさが体験できる展覧会です。
自然に感謝しながら、手間と時間をかけてひとつひとつ心を込めてものを作り出していくという歴史は、日本の古くから受け継がれてきた良き文化であり、忘れることなく後世に語り、教え、伝承していきたいことです。
さらにスピード化の時代にあってゆっくりと原点をみつめながら先人の知恵を知り、ものを作り上げる喜びや豊かさを体感することは、人やものを大切にする心を育て、心の癒しにもつながっていくことでしょう。
「原点を知る」「手づくりの喜びを味わう」多くの人にそのような場所を提供したいと思い、今回「手しごと展」を開催するはこびとなりました。
ぜひ多くの方に見て、触って、体験していただき、手しごとの良さと素晴らしさを実感していただければ幸いです。
工房おりをり 鈴木美佐子
吾妻山麓醸造所(ワイナリー)
2019年にオープンした福島市初となるワイナリー、それが吾妻山麓醸造所です。

横山さんはもともと病院の事務の仕事をしておられ、ワイン造りの経験はまったくありませんでした。
職場で2つの病院の合併プロジェクトの責任者をしておられ、2011年3月12日に開業の予定でした。
そして開業の前日にあの東日本大震災が起こったのです。横山さんは「もうだめだ」と思ったそうです。
「あの時の思いが今に繋がっています。震災から10年を越え、ハード面は確かに復興してきたと言えるかもしれない。でも心の復興はまだまだ進んでいないと感じます。心がどこか満たされないのです。」
そんな中で、自分に何かできることはないかと考えた末、「人々の心の癒しになるような場所を作りたい」と、この地で醸造所を作ることを決めました。
福島にはワイン醸造所はありません。また横山さん自身も日本酒党でワインに詳しいわけでもなかったそうです。
「なぜ、ワインの醸造所を作りたいと思ったのですか?」と訊いてみました。
「昔、仕事の視察旅行でヨーロッパ(フランス、オーストリア、スイス)に旅行したことがあるんです。そして現地の人たちが日常的にワインを飲み、語りあい、人生を楽しんでいる姿を見た。そういう光景を見て『あぁいいな』と思った。ワインは人と人をつなぐんだな、そう感じたことがきっかけになったのかもしれません。」
横山さんは、ワイン醸造家の牧野さんを山梨県の勝沼から呼び寄せ、一からワイン造りを始めました。
牧野さんに訊いてみました。「福島では初のワイナリーだそうですが、この地はワイン造りには向いているんでしょうか?」
牧野さん曰く「ワイン醸造には朝晩の寒暖差がとても大切です。近年、地球の温暖化が進んでいます。これまでワイン醸造に適していると言われていた土地も温暖化により環境が変化しています。最近では北海道や東北などの寒い地方で良いワインができるという実績も出て来ています。その意味で福島も今後期待大ですね」
2019年からワイン造りを始め、葡萄もこの福島の地で育てることを目指し5,000本の木を植えています。まだそこで採れた葡萄をワインにする段階には来ていませんが、開業2年目にして品評会で銅賞を受賞されました。(欧州系品種シャルドネ白 銅賞)

こちらがその受賞ワインです。山形県寒河江市産のシャルドネを使用し、オーク樽で6か月熟成して作られたワインです(3,500円)。
飲んでみましたが、葡萄の味がしっかりして、花の香りがする柔らかくてすっきりした美味しい白ワインでした。

山麓の畑ではワインを飲みながら福島市街を見渡せる展望デッキを整備中でした。ここでワインを飲んだら、ホント気持ち良さそうでした。

畑では葡萄が着々と育っていました。来年には吾妻山麓産の葡萄を使ったワインが味わえるようになりそうですよ。楽しみですね。